また、各地域の面積と人口比率を見ると、ジャカルタのあるジャワ島に人口もGDPも寄りすぎているのが分かります。そしてその北にあるのが広大なカリマンタン島でその北の部分はマレーシア領です。インドネシアはヨーロッパと同じ位東と西の間の距離が大変離れています。ヨーロッパの地図を重ねると同じになるのです。またマルク・パプア地域も、ニューギニア島の西半分であり、インドネシアが島として全て持っているのは、スマトラ、ジャワ、小スンダ、そしてスラウェシのみです。
ボルネオ島、インドネシア語ではカリマンタン島と呼ばれるこの島におけるインドネシア領は5つの州に分かれており、そのうちの3州が候補にあがっています。ジャカルタ以外のところにというのは初めて聞く話です。ジャカルタは今、空港も交通も機能不全になるほど混雑していて、世界最大の駐車場はジャカルタそのものと言われるほど、車が動かない状況なのです。
その点で、新首都という考えはブラジリアに近いと思います。オーストラリアの場合にはメルボルンとシドニーが仲が悪かったので、キャンベラのようなとんでもない場所に首都を持っていったわけですが、ブラジルの場合にはアマゾン側を開発するという狙いと、リオデジャネイロと近郊が仲が悪かったために遠くへ持っていったという経緯がありました。今回の場合は、仲が悪かったというよりも、ブラジル型で、少し奥地に移すという狙いがあるのだと思います。
首都移転をすると何が起こるかというと、殆どの議員はジャカルタ近郊から来ているので、週末にはジャカルタへ帰っていくことになります。これはブラジリア現象と言い、ブラジリアという素晴らしい首都をオスカー・ニーマイヤーなどの設計でつくったものの、みんなすぐにサンパウロなど地元に帰ってしまい、なかなか思ったほど首都らしくならないということが起こります。インドネシアでもそうした現象がしばらく起こることになるでしょう。しかし、インドネシアに関しては、あまりにもジャカルタへの一極集中が強いので、この首都移転は良いアイディアだと思います。
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