意図せざる循環という形で、バブル、経済危機、対応策をぐるぐる回っていくというのが今の世の中です。欧州、米国、日本の最近の動向を見ると、アメリカではトランプ大統領の人種差別発言の問題や、利上げのタイミングや回数がどうなるのかということが焦点です。
利上げについては、現状では来年までに1.2回という織り込み具合になっています。0.2回は上げようがないので、今年一回、来年一回やることで二回の利上げをするか、今年やらずに来年一回で、一回の利上げをするか、このどちらかになるわけですが、今年やらないと見る派が多く、その間を取ると1.2回程度になっているという状況だと思います。逆に、今年利上げを行えばインパクトとしてはすごく大きなものになると思います。基本的にアメリカ景気は好調ですが、ただちょっとムードはそこまで良くないという感じです。
一方、欧州は金融緩和縮小が見えてきています。足元の景気が非常に良くなったということです。欧州はいろいろな問題を抱えてきましたが、どうやらそれらを突破して良くなってきたと言えます。このまま金融緩和を続けても逆にマイナス面もあることから、これからは縮小に向かっていくということで、ユーロは強くなっています。
そして日本ですが、アベノミクス継続への不安感が少し出てきたかと思います。前回5月の講義では、憲法改正論議の話をしました。あまりにも自民党一党が強すぎて、憲法を改正したいという安倍首相の望みを達成してしまうのではないかという状況でした。そうすると経済よりも憲法改正の論議の方が増えてくることが心配されていました。しかし、年末に衆議院選挙を控え、夏の東京都議会選挙では自民党が惨敗し、さらに他の地方選挙でも自民党は負けているので、現状はこうした動きが気になるところです。衆議院選挙で負けるようなことになると厳しい状況になるでしょう。ただ他に勝てそうなところもないので、微妙なところだとは思います。
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