グローバル・マネー・ジャーナル

2019.4.3(水)

【米株式市場】米株の強みとコストの怖さ(大前 研一)

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【米株式市場】米株の強みとコストの怖さ(大前 研一)
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米株の強みとコストの怖さ(大前 研一)

米株の強みとコストの怖さ

 「アメリカ株の強みとコストの怖さ」と題する日経新聞の記事を紹介します。これは、ウォーレン・バフェット氏が年に一度、バークシャーハザウェイの株主に送る手紙で、今年はアメリカ株に投資する強みとコストの怖さを指摘したと紹介しています。
 株高が多くのアメリカ国民の幸せに結びつく構図が、アメリカ株の長期上昇トレンドを維持させていることや、売れ筋投信の多くが、高コストのアクティブ型である日本の投資家こそ、ことの重要性を知るべきかもしれないとしています。
 少なくとも日本であれアメリカであれ、米国株を組み込んでいるものが、投資信託では成績がトップなのです。日本株やその他の国の株は、時々は良くなりますが、長期に渡っていいものというのは、米国株しかないのです。その点でアメリカは強いのです。
 トランプ大統領は、なんとなく自分たちは敗北している、負けているという演出をしていますが、実際にはアメリカが、最先端の産業、つまりGAFAのようなところが非常に強く、不動産も含めて強いのです。例えば、アマゾンのような企業は、シアトルの地価をどんどん上げており、今後、第二本社、第三本社と作っていくところも、どんと地価が上がるでしょう。
 このように、アメリカではまだまだ上がっていく仕掛けがあるわけです。さらに、世界でも最高水準で、IT技術者や高付加価値業務に従事する労働者の賃金を上げていっているというわけです。
 そして株も上がり、その上がった株を組み込んでいるETFのようなものが上がるのです。それにより、ほとんどの投資信託は、日本の年金でも、そういうものを組み込まないとダメなのです。そして10年20年経ってみると、それが実際に勝つのです。
 他の国は一喜一憂の動きをしているのに対し、米国の方は、リーマンショックやブラックマンデーなど、いろいろなショックもありますが、ずっと長い目で見ると一番上がっているということなのです。

米国政策金利

 FRBは20日のFOMCで、短期金利の指標であるフェデラルファンド金利の誘導目標を、年2.25%から2.5%のまま、据え置く方針を全員一致で決定しました。海外経済の成長鈍化が逆風となり、アメリカ経済も予想より減速していることを受けたもので、2018年12月に続く追加利上げも見送りました。
 トランプ大統領がパウエル議長に勝った、などということも言われていますが、しかしパウエル議長の今回の発表は、少し情けないものでした。海外経済の成長鈍化が理由だと言っているわけですが、実は金利が大きな問題なのです。
 ECBも日銀も金利は0に張り付いています。日銀の方はさらにマイナス金利にもなっています。それに対し、自分のところは階段状に2.5まで上がってきているという状況なのです。このペースで、アメリカ企業は依然として好調であり、ただここにきて、これ以上金利を上げる理由が見当たらないので据え置くと言えばよかったのです。
 それを他の国が原因だとしたのです。それよりもやはり、欧州、日本という巨大経済に対して、自分の所だけが金利が上がり、それに米国経済はよく持ちこたえているわけです。それをしばらくは維持するということであり、日本、および今後ゼロ金利を止めると言うヨーロッパ中央銀行などの動きを見て、その上で決めていこうという話なのです。
 それを、あのような惨めな言い方をする必要はなかったと思うのです。なんとなく、トランプ大統領の前で命乞いをしているような感じがして、私はとても不愉快でした。パウエル議長がここまで言うのかというふうに感じたのです。

日米欧の中央銀行の総資産残高

 一方、中央銀行の総資産残高を見ると、FRBはその水準を下げてきています。一方で日銀はまだ増加を続けています。ここにリスクがあるのです。ヨーロッパも増してきています。
 こういった点でFRBは、既に自分のリスクというものをマネージできているのです。ですから、もう少し言い方を工夫したほうがよかったのではないかと思います。一方、日本はどうなのかというと非常に問題が大きいという現状は変わりません。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
3月24日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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▼その他の記事を読む:
【前回の記事】独禁法審査に例外規定導入検討(大前 研一)

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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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