グローバル・マネー・ジャーナル

2019.4.10(水)

国際特許出願件数の現状(大前 研一)

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国際特許出願件数の現状(大前 研一)
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国際特許出願件数の現状(大前 研一)

国際特許出願件数

 WIPO(世界知的所有権機関)が19日に発表した、2018年の特許の国際出願件数で、アジアの国からの出願が初めて5割を超えたことがわかりました。また、個別企業では上位10社のうち、日中韓の企業が6社を占め、1位は前年に続き、中国のファーウェイだったということです。
 特許というのは何を持って個数にするのか、本当にインパクトのある特許も一つ、単に誰も出していなかったので通ってしまったというものも一つです。つまり、数を稼ぐということ自体、本当はあまり意味がないわけです。
 いずれにしても国際特許というものについては、アジアが半分以上になってきたという話です。ただ、本当に金の取れるガチっとした特許に関してはアメリカ勢が強いということです。

国別の国際特許出願件数

 国別の国際特許出願件数を見ると、トップのアメリカに二位の中国が追いついてきています。日本も長年トップを走っていましたが、今回は3位で、上位とそれほど大きな差は見られません。次のドイツになると、件数はその半分以下となり、韓国、フランスと続きます。かつては発明の天国のようだったイギリスなどは、だいぶ落ち込んできていますが、クオリティーそのものはイギリス勢も強いと言えます。
 また、私も日立のエンジニアをやっているときに、年間一人一つは出さないといけないというルールがありました。エンジニアが一人について一つ出すわけですが、私は天井を見ている間にいくつも考えつくので、今年のノルマを果たしてない人に声をかけ、アイディアを分けていました。
 国内特許はそのように集めれば良いのですが、海外に出す国際特許については、さすがに日立も経費がかかるということで、当時は私一人で日立全体の5%までやっていたほどでした。ただし原子力関係だったので、なかなかこれが金を産んでくれないということはありました。すでに20年以上経ってしまったものなのでどうでも良いのですが、私はこの種のもので競争になったら結構強いのです。
 いくらでも浮かんできてしまうのですが、ただその中にはつまらないものもありました。例えばテーブルに1つしかない鉛筆削りを、どちら側からも使えるように、上下動で鉛筆が削れるようにするというもので、これも特許を通ってしまったのです。また、当時高速道路はランプを作るのにお金がかかるということで、入り口と出口の間がかなり離れていたのです。今のようにETCで休憩所から出るようなタイプはなかったのです。
 そこで私は、入り口まで来るとリフトで上がって高速道路に入るというシステムも考え付き、これも特許を取ったのです。日立とは何の関係もないものですが、エレベータを作っている会社でもあるので良さそうではあります。
 こうして何でもいいから考えろと言われれば、私は次から次へと欲しいだけアイディアが出てきました。中国の特許の数にはそんなアイディアも入っているのではないかと思います。私もやっていたので人のことは言えませんが、数を出せと言われると、今言ったようなものも含まれてくるものです。
 私は1分間にいくつアイディアを考え出せるかといったことが大好きだったのです。高速道路の案にしても、20キロも入り口がないような時に、リフトで上がって簡易のランプで高速に入れるなどというのはなかなかいい案だったかもしれません。ただ今のETCの出口が便利なので、その特許を無効にしてしまいました。いずれにしても、特許に関しては数で競争することは、私自身の反省も含め良くないと思います。

企業別の国際特許出願件数

 出願件数を企業別にみると、ファーウェイが1位で、なんと2位は三菱電機なのです。そしてインテル、クアルコムなどが続き、日本企業としては、ソニー、シャープ、デンソーなどが20位以内に入っています。日本でも会社によっては頑張っているというわけです。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
3月31日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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【前回の記事】【米株式市場】米株の強みとコストの怖さ(大前 研一)

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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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