グローバル・マネー・ジャーナル

2019.4.17(水)

トルコ情勢の現状(大前 研一)

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トルコ情勢の現状(大前 研一)
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トルコ統一地方選(大前 研一)

トルコ統一地方選

 3月31日に投票が行われた、最大都市イスタンブール市長選で、野党共和人民党の新人候補イマモール氏が、与党公正発展党のユルドゥルム元首相を下しました。また首都アンカラでも、野党候補が勝利したと報じられました。
 トルコというところは大都市に70%以上の人口がいて、その大きな2つの都市で、公正発展党が負けてしまったということなのです。ただエルドアン氏はこれを受け入れないとしていて、異議を申し立ててもう一回数え直せと言っています。
 ただ明らかにエルドアン氏の人気、支持はかなり落ち込んでいて、イカサマと言われてはいます。クーデターを平定したときにはずいぶん人気が出たのですが、今となってはエルドアン氏は崩壊寸前で、追われる立場になっているという状況です。

トルコ情勢

 日経新聞は1日、「トルコ、外貨準備急減」と題する記事を掲載しました。エルドアン大統領が通貨安を抑えるため、外貨を売ってリラを買い支えるよう命じたことで、トルコの外貨準備が急減したとの観測が浮上しています。
 統一地方選を前に、物価上昇につながる通貨安を抑えようとしたものですが、これを受けて株式や債券が大幅に売られるなど、市場に混乱が広がりました。
 エルドアン氏は黙っていれば良いのに、買い支えろと言ったことで、やはり弱いのではないかという見方から下がってしまったというわけです。これも、彼の神通力が失われているという一つの証拠です。

トルコリラ相場とトルコの外貨準備高の推移

 トルコリラ相場の動きを見ると、リラ安の方向に動いています。また、外貨準備高も落ち込んできています。しかし今の時点ではまだ、かつてトルコが経験した危機的な状況までは行っていないということがわかります。

トルコの主な経済指標の推移

 GDP成長率を見ると、ほとんどゼロに近い状況です。インフレ率もかつては100%などとなっていましたが、20%を切っています。高いことは高いですが、かつてに比べるとまだ落ち着いています。失業率も12%と、ラテン系ヨーロッパの国々と比べると、まだそれほど高くはなっていません。
 経済指標は悪く、さらにエルドアン氏の人気も落ちてはいますが、やはりトルコは余計な喧嘩をしすぎるというところが問題です。そうでなくてもシリア難民などを多く受け入れているので、トルコの経済は世界中の人が応援しても間に合わないほど苦しい状態なのです。
 それに対して力ずくでやっていこうというところが、金融業界からも支持を失っている背景だろうと思います。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
4月7日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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【前回の記事】国際特許出願件数の現状(大前 研一)

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