新興国経済/米国債/主要国の10年債の利回り推移(大前 研一)
2022.6.29(水) | ||||||||||||
新興国経済/米国債/主要国の10年債の利回り推移(大前 研一) | ||||||||||||
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新興国経済 |
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日経新聞は4月17日、「通貨安、債務不履行の懸念」と題する記事を掲載しました。スリランカ政府が4月12日、正常に公的債務の返済を続けるのが困難になったとして債務の支払いを一時停止したことでデフォルトの懸念が高まっています。先進国がインフレ対策で金融引き締めを急ぐ中、新興国に流れていたマネーが逆流すれば新興国の通貨安はさらに進み、外貨建て債務の負担が増すことから、世界銀行は新興国12カ国が今後1年以内に債務不履行に陥る可能性があると警告したということです。 | ||||||||||||
アルゼンチンでは、こういったことが年中行事となっています。IMFはかなりの金を貸し込んでいます。しかし、それを返せないので債務をもう一度繰り延べというか再編をしてあげましょうと言っています。IMFは、アルゼンチンに対して非常に同情的なのです。 | ||||||||||||
スリランカの場合には、これからどうなるかは全くのクエスチョンマークです。なぜかというと、ここには中国が貸し込んでおり、中国に対して不払いが起こったとしても知らん顔、IMFが介入しないという可能性があるということです。1年以内に12カ国ということですが、こういったことは年中起こっています。ベネズエラにしてもそうですし、中南米に多い問題です。しかしスリランカとなると少し別の話です。中国寄り、それからインド寄り、中国寄り、インド寄りといったことを繰り返し、政情は安定していません。 | ||||||||||||
米国債 |
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4月18日の債券市場でアメリカ10年物国債の利回りが一時2.88%まで上昇し、2018年12月以来の高水準となりました。FRBがインフル沈静化へ向け保有資産を減らす量的緩和の引き締めを急ぐとの見方から、アメリカ国債の需給悪化を懸念した売りが続いているもので、景気後退のサインとされる長短金利の逆転現象は解消されたものの、景気不安は根強く残る現状です。 | ||||||||||||
主要国の10年債の利回り推移 |
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これは先ほど言ったことですが、オーストラリアやアメリカにおいては、このようにお金を国債に引き付ける必要があります。誰も買ってくれない状況で利回りを上げると、少しは買ってくれる人が増えます。対して日本の場合には、このように利回りは非常に低いままです。 | ||||||||||||
このままであれば日本国債を持っているよりもオーストラリアやアメリカ国債のほうが利回りはいいということになります。日本の場合にはオーストラリアよりもアメリカに引っ張られ、今後はインフレ傾向というか国債そのものの利回りが上がってしまうでしょう。そうすると日本は国債を大量に発行していますから、利回りに大変なお金がかかるようになり、最終的には日本政府にとって非常に厳しい事態になります。 | ||||||||||||
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▼その他の記事を読む:
【前回の記事】米バークシャー・ハサウェイ/HPの業績推移と株価の推移/主な投資先企業(大前 研一) |
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