グローバル・マネー・ジャーナル

2018.12.12(水)

最近の商品価格について(近藤雅世)

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最近の商品価格について(近藤雅世)
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最近の商品価格について(近藤雅世)

<NY金>

 今年の金価格を見ると8月16日が底値だった。東京商品取引所の金価格は8月16日4,112円となり、NY金価格は同日1,167.1ドルとなっており、2017年1月以来の安値を付けたが、その後右肩上がりに上昇している。
 今年の金価格はドル高・金安のパターンであった。その相関係数は▲0.86と高い負の相関を示している。米国FRBは、12月の利上げ予定を含めて今年4回の利上げを行った結果ドル高となり、新興国通貨を下落させた。
 (なお、利上げとドル高の相関は今年だけであった)新興国通貨の下落はそれらの国の通貨建て金価格を上昇させ、それが金宝飾品需要を低迷させた。小口投資用需要は、インドやインドネシアでは脱税のために金が購入されたが、セーフヘブンとしての金買いは2月と6月の米国株価急落及び世界同時株安の時だけであった。
 今年ハイライトだったのは、政府保有の金が大幅に増加したことで、これは今後ともその傾向が続くと見られている。各国の外貨準備は、大半が米国債で保有されていたが、ドル離れの風潮と、米国金利の上昇による保有米国債の評価損の増加を嫌って、米国債を売却して金に替える国が増えている。ロシア中央銀行は、上半期だけで191トンの金を購入し前年同期比+27%増となり、米国、ドイツ、イタリア、フランスに次いで、また、中国を抜いて、世界第五位の金保有国となっている。トルコの中央銀行も自国通貨安と反米政権により上半期38トンの金を購入した。アルゼンチンやベネズエラも金保有を増加させ、インド、コロンビア、モンゴリア、カタール、スリランカ、ウクライナ等が購入している。ドイツ、オーストラリアもコイン製造用に新たに金を購入した。こうした国は今の金価格は安いという思惑があるのではないかと推量される。
 今年に限って言えば、米国における利上げがドル高を誘導し、ドル高により金安となっている。 これが来年も続くとするなら、来年の利上げの動向が気になるところであるが、最近のFRBのコメントからはすでに中立金利に近づいたという雰囲気が感じ取れる。9月のFOMCで15人のFRB委員による中立金利の予測は2.5~3.5%であった。
 現在の目標FFレートは2~2.25%で12月19日のFOMCでは2.25~2.50%に利上げされることがほぼ確実と言われている。そうなると、仮に3.0%が中立金利であるとするなら、後2回の利上げで到達する。直近のCMEによるFed Watchによれば、来年3月20日に2.50~2.75%になる確率は19.8%、6月19日は30.8%、9月18日は34.5%、12月11日で35.0%である。また、2.75~3.0%になる確率は、6月で7.2%、9月で11.6%、12月で13.6%であり、それ以上の利上げ確率はかなり小さい。
 つまり、来年は2回それもゆっくりしたペースで利上げされると市場は読んでいるようだ。ということは、今後さらにドル高になる可能性は低くなっており、逆にトランプ政権の失策の表面化やねじれ国会による政治空白等からドル安に転じる可能性が高いと思われる。それは来年金高となる可能性が高い。個人的には、今年8月に底を打った金価格は来年緩やかな上昇基調になるのではないかと思っている。

<NY原油>

 NY原油価格は10月3日の76.9ドルを天井に下落基調が続いていたが、12月12日のOPEC総会において、ようやくロシア等の非OPEC諸国とサウジアラビア等のOPEC諸国が来年1月から6月まで120万バレル規模の協調減産を行うことが決議され、価格は下落が止まり横ばいとなっている。イラン、リビア、ベネズエラは減産の対象外で、ナイジェリアは減産対象国となった。
 また、来年4月に臨時OPEC総会を開催して進捗状況を確認することになっている。ただ、今年はサウジアラビアもロシアも、イランとベネズエラの減産を補填するという名目の下で増産しており、10月には米国と並んでそれぞれ過去最大の生産量となっている。市場では来年120万バレルの減産はできないのではないかとの声が聞かれる。先進国の需要はほぼ横ばいとなっており、世界の原油需要の増加は新興諸国においてのみ見られる。
 しかし、中国やインドでは通貨安による資金の流出や外貨借り入れ返済の負担等により経済成長が鈍化しており、自動車販売台数には陰りが見えている。
 一方で米国は50ドル以上なら十分採算が取れるため資源開発投資が増加している。米国石油企業は敢えて増産して価格を下げることはないと思われるが、米国の昨年の石油埋蔵量は前年より+19.5%増加しており、石油掘削リグ数は今後増加傾向となるといわれている。また11月30日の週の米国の原油と石油製品輸出量が史上初めて輸入量を上回った。アジアや中南米へのアプローチを強めている米国石油企業は、今後米国内の需要が横ばいでも生産を増加させることはあるだろう。原油価格の下落基調は止まったと思われるが、今後上昇する雰囲気は乏しく、50ドル~70ドルあたりのレンジ相場となるものと予想する。

<トウモロコシと大豆>

 米国産トウモロコシと大豆は、今年は豊作の年であった。トウモロコシは単位当たり収穫量が過去最大となり、生産量は過去2番目、需要も伸びているので在庫は少し減少する見込みとなっている。
 一方大豆の単収は過去3番目だが、作付面積が過去最大だったため、生産量は過去最大だった。ところが、需要の半分近くを占める輸出のうち、輸出量の6割を占める中国向けの輸出が米中貿易戦争のあおりを受けて減少し、米国にとって大きな輸出品目であった大豆が伸び悩んでいる。
 中国は報復関税として、米国産大豆の輸入関税を25%引き上げて28%としたため世界の大豆需要の6割を占める中国は、ブラジルやアルゼンチンからの輸入を増やしている。中国東北地方などに大豆生産の補助金を手厚くし、大増産令を出したが作付けに間に合わなかったため、中国は今年の増産はそれ程できなかったが、来年は中国産大豆が大増産され自給を図るものと思われる。恐らく来年以降米国の大豆農家は販売先に困ることになるだろう。
 また今年はメキシコや中国が関税問題で米国産豚肉の輸入を減少させたため、米国内の養豚農家が困り、米国内豚肉価格が下落して鶏肉よりも安くなった。一人の大統領の発想が世界を混乱させ、結局米国の農家や畜産業に打撃を与える結果となっている。
 なお、中国では豚コレラが蔓延し、豚が処理されており、豚肉価格は上昇している。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
株式会社コモディティーインテリジェンス 代表取締役社長
近藤 雅世
12月5日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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【前回の記事】日米欧2019を読む(藤本誠之)

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