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2019.3.20(水) |
最近の商品価格について(近藤 雅世) |
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資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびに一流講師陣から学ぶ! |
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世界情勢と金・原油価格
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世界の景気は成長率が減速し、景況感が悪化している。
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しかしそうと言いながら不況に陥っているほどではなく、景気は一時的な調整で、近い将来回復するという経済評論家もいる。まさに先行き不透明となっている。商品価格についても金価格は昨年夏と年末の米国株価下落を受けて金が安全資産として買われ、ことに欧州で金ETFが売れた。
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しかし、今年に入って株価は反発し、その分金価格は下押しされている。原油価格もほぼ横ばい状態で大きなトレンドは出ていない。
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金融政策の変化
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各国中銀は利上げを停止、ないしは予定されていた利上げを延期している。米連邦準備制度理事会は半年前には政策金利を2020年に3.5%近くにするため、19年に3回利上げすることを想定していた。
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最近は当面の利上げ休止を示唆し、短期金利は2.5%弱にとどまっている。ヨーロッパ中央銀行は、19年のインフレ率を1.6%から12%に引き下げ、成長率予想を1.7%から1.1%に下方修正した。その上で年内の利上げを断念し、9月に量的金融緩和を再び行うとしている。インドやオーストラリアでは利下げされ、カナダと英国では利上げが先送りされている。
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いずれも足下の経済が停滞し始め、世界経済が想定外の後退局面に陥ることを防ぐための金融政策の転換である。政治的な不透明さは、米中貿易摩擦や英国の欧州連合離脱計画等である。3月12日の時点ではどちらも決着はついておらず、今後難しい交渉がどのような妥協点に落ち着くかが見物となっている。
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NY金価格
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昨年末に大きく落ち込んだダウ平均株価に対して金は買われ、昨年夏の8月9日1176.2ドルだったNY金価格は、今年の2月19日1343.3ドルと、1300ドルの大台を超えたが、その後達成感もあり1290ドル台に反落している。 |
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昨年はもっぱら株価というより、ドルインデックスとの逆相関が強かった。2017年安くなっていたドルインデックスは、2018年FRBの利上げの都度ドル高となり、新興諸国等の為替は通貨安となった。
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金価格もドル建てであるため、ドルが強くなった分だけ金安となっていた。
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今年はドル高の修正が行われるのではないかと思っていたが、これまでのところはドルは横ばい中であり、予想外に弱い雇用統計が公表された3月8日にはドルは急落し、金価格は急上昇したが、ドル安は一時的なものとなり、ユーロ安から再びドル高となっている。
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そのため、昨年はドルと金は▲0.80という高い逆相関であったが、昨年初めからこの3月までグラフを引き延ばすと、逆相関は▲0.65と関連性が薄れている。
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金に関するニュースとしては、政府保有金が増加していることであろう。中国は先週、外貨準備高を公表した。これによると、昨年停止していた外貨準備としての金の購入を今年から再び初めており、2月に3か月連続で金の政府保有額が増加して794億9,800万ドルになったという。数量では1864トンから1874トンに約10トン増やした。人民銀行は金を買う理由を特に説明していないが、米中貿易摩擦からドル資産を増やすことを少なくしようとの意図であろう。中国の外貨準備高は昨年10月頃まで減少傾向だったが、その後増加に転じている。また、貿易収支も増加傾向にある。
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昨年ロシア政府は積極的に金を購入し、また、世界第3位の産金国であるロシアは、国内で生産される金の大半をロシア中央銀行が購入している。
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【講師紹介】 |
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【前回の記事】国内株式相場足元の動き(藤本 誠之)
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