グローバル・マネー・ジャーナル

2018.4.18(水)

米TPP復帰に向けた不透明な動き(大前研一)

2018.04.18(水)
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米TPP復帰に向けた不透明な動き(大前研一)

【TPP】USTRに復帰条件検討を指示 ~米トランプ大統領~

 米トランプ大統領は12日、TPP復帰に向けた条件を検討するよう、USTR、アメリカ通商代表部に指示しました。アメリカにとってかなり良い協定に見直す再交渉ができるか検証するものですが、日本などTPPの参加国は再交渉に否定的な上、トランプ大統領は協定からの離脱を公約に掲げており、どこまで真剣に復帰に動くかは不透明です。
 これはトランプ大統領らしく、オバマ前大統領のときの条件よりも良い条件を引き出せるのであれば復帰しても良いと言い、非常に迷惑な話です。オバマ前大統領と比較する必要はないと思います。今の、合意しつつあるTPPで気に入らなかった点を示し、それが故に私はこれから逃れた、したがってこの点を変えれば私は戻って良いと考える、と言うのであればわかるのですが、彼はTPPの勉強は何もしていないのです。話題作りとして、あの時に外れてしまったが、ライトハウザー氏なども入ってきているので、USTRにその辺りを頑張ってやってみたらどうかと指示した、その程度のことなのです。
 それに対し、日本はもうすでに尻尾を振っている状況です。安倍総理が訪米してゴルフをやるわけですが、その時にTPP担当の茂木経済再生大臣を連れて行こうとしているのです。日本はこのように尻尾を振っているところがあるのですが、アメリカ抜きで日本が中心になってまとめたというところが日本のプライドだったはずなので、こんなところで尻尾を振っていてはいけないと思います。
 また、もし復帰があるとしても、昔のオバマ政権のものよりも良いものでないとダメだと言っているので、トランプ大統領のような人を相手にやってみても、狂人を相手にやっているようなものです。この人はまともな人と思ってはいけないのです。私が想定していたよりもトランプ政権の寿命は長く粘っているわけですが、今回の復帰を受け入れる必要はなく、切り離して良いことだろうと思います。

【アメリカ経済】広がる都市間格差

 NHKニュースウェブは6日、「アメリカで広がる都市間格差」と題する記事を掲載しました。ワシントン州シアトルでは、IT企業の好業績を背景に経済の好循環が生まれている一方、ゼネラルモーターズの工場が2008年に閉鎖されたウィスコンシン州ジェーンズビルでは、雇用が回復しているものの、賃金の低下により人々の生活が苦しい状況です。業種による企業の成長スピードの差が、人々の見えない経済格差になっているとしています。これがトランプカントリーでトランプ氏のフェイクプロミスとなっているもので、トランプが当選した理由になったものです。
 シアトルの主な企業のオフィス面積を見ると、アマゾンがダントツでトップです。またソフト関連職種が多いと平均賃金が上がっていくというデータも示されています。シアトルなどはまさにその良い例です。サンノゼ等はソフト関連職種の割合がこのところ減ってきています。
 このようにして、いわゆるラストベルトと言われているような地域は、ソフト関連の人がほとんどいないということで給料も当然安く、業界による差、それはつまり地域による賃金格差が大きくなっているのです。トランプカントリーでは賃金が低く、一方トランプ反対カントリーと言われるシリコンバレーのようなところでは賃金が非常に高いということで、アメリカの中における二極化が進んでいるのです。これは地域の違いであり、同時に産業構造の違いであるというわけなのです。

【外国人労働者】新たな在留資格を検討 ~政府~

 政府は11日、外国人労働者の受け入れ拡大に向け、新たな在留資格を創設する検討に入りました。最長5年間の技能実習制度の修了者で、一定の要件をクリアした人に限り、さらに最長5年間、国内での就労を認めるということです。
 これは私には全く理解できない制度です。基本的に技能実習をして5年間だったものを、人が足りないから期間を10年にしましょうというわけですが、10年働いて大丈夫な人を、なぜそこで送り返さなければならないのでしょうか。なぜここでグリーンカードを発行しないのでしょうか。
 場当たり的なやり方で、5年が10年になったと言いますが、もしそうであれば、グリーンカードのような制度にして技能実習の後、日本語や日本に於けるいろいろな習慣等の教育を税金を使って行い、修了した人にはグリーンカードを発行し、試しに5年働いて何の問題も起こさなかったら、その後はずっと日本で就労できるようにすべきなのです。今ちょっと人が足りないから、5年を10年にしましょうと、こういう場当たり的なものではいけないと思います。
 今、120万人の外国人労働者がいるとされていますが、毎年どんどん増加しているわけです。在留資格別にみると、永住者は約3分の1、資格外の活動、つまり留学生のアルバイトなどが23%、そして次に技能実習と続きます。今回はこの技能実習という在留資格の話で、全体の2割しかいないわけです。こういう人たちは特に今後も必要になってくるので、やはりグリーンカード化していくべきだと思います。
 国別にみると、中国が今はそれほど増えておらず、ベトナムが急に増えてきています。フィリピンもそれほど増えていません。フィリピンに関しては他の国からも引く手あまたなのです。
 ブラジルは日系2世、3世の人たちが来ています。こうしてみるとまだまだ国を多様化していく必要があるのです。また、ブラジルは、なんちゃって日本人が増えています。ブラジルでは日本人の子孫であるということを証明するニセの身分証明書をいくらでも書いてくれることもあり、なんちゃって日本人の日系2世3世が結構来ているのです。それも商売になっているということなので、その辺りも含め、ブラジルの日系の人だけを優遇するという変な制度はやめるべきだと思います。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
4月15日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
▼その他の記事を読む:
【次回の記事】株式市場の現状と今後のポイント(福永博之)
【前回の記事】米中関係悪化の背景 ~標的となったトランプカントリーの農民たち~(大前研一)

株式・資産形成実践講座事務局
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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