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2016.2.24(水)

深刻な問題として急浮上 チャイルショック(大前研一)

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深刻な問題として急浮上 チャイルショック(大前研一)2016/02/24(水)


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今回のテーマ

深刻な問題として急浮上 チャイルショック(大前研一)

【中国】深刻な問題として急浮上 チャイルショック

 日経新聞は1日、「資源安、マネー大移動」と題する記事を掲載しました。原油や金属などの資源安で、産出国から消費国への所得移転が加速しています。価格低迷が2016年も続けば、日米欧、中国などの貿易収支の改善額は1兆1581億ドル、約136兆円に上る計算です。資源安は金融市場の動揺を招く一方、輸入国では企業や家計の所得を増やす側面も併せ持つとしています。

 今は、中国、資源安、そして日本の日銀の当座預金におけるマイナス金利ということで市場は騒いでいますが、実態から見るとやはり、資源安で株式市場が下落するということはおかしなことです。日本は原油安によって家計が随分と助かり、少し大きな車も買おうかという動きにもなります。

 特に日本のようにエネルギーを輸入している国では大きなプラスになるわけですが、そうした評価はなされていないようです。アベノミクスはGDPを増やしたいと思っており、資源安で増えないという部分があるので悔しがっているのです。しかしそれでは間違いで、やはり生活が楽になることが政治の目的であり、GDPを増やしてインフレにするということが目的であるわけはないのです。

 もう一つの問題、中国に関しては実際深刻で、日経ビジネスの今週号でも「チャイルショック、リーマンより怖い現実」と特集されています。この問題については確かにこの通りで、この番組でも何度もお話ししています。中国は非現実的な政策、つまり、賃金政策と為替政策を併せてコントロールしようとしていて、そのオーバーコントロールの矛盾が出てきているのです。

 そして今、中国の現場では、習近平主席のやっている虎刈り、虎も蠅も叩くという政策ですが、その影響で叩かれるのを怖がって誰も何もしなくなってしまいました。今は目立つことをしないということが優先され、許認可も全く下りない状況で宙に浮いてしまっているのです。むしろ今の方が怖い状況ではないでしょうか。悪いことをやり、裏で賄賂をもらってどんどん認可していたのも問題ですが、そう疑われるのではないかと思って何もしないというのも困るのです。

 たまたまですが、ニューズウィーク誌の今週号は、”THE INCREDIBLE SHRINKING” と題して原油価格の下落を取り上げています。それに中国のシュリンクも合わせて、「チャイル」と表現するのだそうです。どちらもシュリンクしてきているので、世の中ではせっかくアメリカが利上げをして景気も良くなると思ったら、驚くほどに躓いてきている状況になっているのです。

【中国】ジョージ・ソロス VS 中国政府!?

 金融情報サイトのズー・オンラインは2日、「ヘッジファンドや著名投資家が『人民元空売り』準備中」と題する記事を掲載しました。一部のヘッジファンドが1992年のソロス氏によるポンドの空売りや、1997年のアジア通貨危機を、人民元で再現しようという動きがあると紹介しています。

 ジョージ・ソロスが英国銀行をひっくり返した、あるいはジュリアン・ロバートソンがタイバーツの空売りを仕掛けたのと同じように、中国人民元を引っ掛けようとみんなが準備しているというわけです。ソロス氏は中国おべんちゃら組の一人でしたが、ここにきて変わってきました。彼はもう自分では大して仕事をやっていませんが、今回人民元は空売りに適しているというような発言をし、習近平主席が大変怒っているという記事も出ています。

 しかし、ソロス自身というよりも、こうしたヘッジファンドの人たちの動きについては、これまで高くなった人民元は、もちろん中国のせいではなくアメリカが高くしろと言ったから高くなったのですが、実力以上の水準ではないかということで空売りを仕掛けるところが出てきたというわけなのです。人民元は政府のコントロールが非常に難しい状況になってきているのです。

 上海総合指数はなかなか下げ止まらず、人民元も下落が続いていて、1ドル6.6元あたりですが、このまま行くと12元あたりまで下げるだろうと思われます。そのぐらいまで下がると、今の人件費でも競争力が戻ってくるのです。このように冷静に考えれば良いのです。

 また、中国は防衛しようとして自国の外貨準備高を減らしています。その一方、民間が持っている人民元を急速にいろいろな手立てで海外に持っていくという動きがあります。80兆円以上の資金が短い間に海外に出て行っているのです。この動きもまた人民元を売ってドルや他の通貨に変えていくことになるのです。人民元売りというのは、中国の個人や企業によっても行われているのです。

 さらに、私のスペキュレーションなので事実かどうかはわかりませんが、中国の企業による海外企業の買収が勢いを増しています。ワンダグループがアメリカのシネコンを買うなど大きな動きが注目されていますが、実際は資金を持ち出す手段だと思うのです。この会社を買う、ということではなく、買収の際にゴールドマンサックスやモルガンなどにかなりの手数料を払いますが、そのかなりの部分を、バミューダなどを経由してもう一度自分たちのポケットに入れるのです。

 まともに行けば年間一人120万円しか持ち出してはいけないところを、会社を買うと言えば大きな額でも可能なのです。つまり企業の隠れ蓑を使いながら海外で買収し、金粉に手を突っ込んで、余力をバミューダなどに置いておいてもらうという策だと考えられるのです。企業のオーナーでも良からぬ奴がこうしたことをやっているのではないかと思うのです。M&Aはとても大変なことなのですが、そうしたことを準備運動もなくいきなり派手に始めています。

 これは要するに中国政府がお金を海外に持ち出せないようにしている中、中国の発展のために海外企業を買収すると言えば何とか持ち出すことが可能になるからではないかと思うのです。中国企業による買収は必ずしもストレートなディールではないと思います。私は中国人の持つ染色体を比較的よく知っている人間なので、そのぐらいのことは彼らは朝飯前でやっているのではないかと思うのです。また、そうとしか考えられないほど意外な人たちがM&Aを始めているのです。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
2月7日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

新年あけましておめでとうございます。2016年の株式市場は波乱の幕開けですが、今年も有益な情報をお届けできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

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これまで長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!