グローバル・マネー・ジャーナル

2017.11.29(水)

窮地に追い込まれたメルケル首相、再選挙の可能性はいかに(大前研一)

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窮地に追い込まれたメルケル首相、再選挙の可能性はいかに(大前研一)

【ドイツ情勢】3党連立協議が決裂

ドイツ保守系与党三党の連立協議が19日、決裂しました。移民や環境政策などで折り合えなかったもので、これによりメルケル首相率いるキリスト教民主社会同盟は他の連立相手を探すか、少数与党の政権を目指すかの選択を迫られ、大統領の判断により再選挙となる可能性も浮上してきました。

今、メルケル首相は窮地に追い込まれたと言われていて、三党の話し合いが決裂したわけですが、実は、2位の社会民主党のシュルツ氏と話し合いを始めているのです。これまでずっと社会民主党と組んでいて、今度は組まないということで選挙をしたのです。結果、社会民主党は議席を減らしたのですが、堂々たる2位なので、この二つが組んでしまえば、圧倒的な連立となり、元の鞘に収まることになります。

また、シュタインマイアー大統領はその時代をよく知っているので、シュルツ氏に、ぜひメルケル首相と話し合いをしてもう一度連立を戻してほしいと働きかけているのです。こうして、自由民主党や緑の党ではなく、社会民主党、シュルツ氏に照準を合わせて大統領が動いているということで、珍しい光景と言えます。

大統領は全くニュートラルでなくてはならず、そのようなことを強制することはできないものの、影響力はあります。メルケル首相は選挙だと言っていますが、シュタインマイアー大統領は、ここまで長い間の空白となるとドイツにとって得なことはないので、選挙は避けてくれと言っています。場合によってはメルケル首相は窮地を脱するかもしれない状況と言えます。これは日替わりメニューのような展開ですが、このところそうした匂いがしてきています。

ドイツへの難民申請の件数を見ると、実際の数は減ってきています。メルケル首相も大きく増やしたものの、現実には減らしてきているとの評価もあります。

ドイツの大統領の権限を確認すると、「過去に目を閉ざすものは現在にも盲目になる」と説いたワイゼッカー元大統領の言葉が知られていますが、ナチに対する甘い考えには厳しく対処したという経緯もあります。今回、シュタインマイアー大統領は、ドイツの空白について、Brexitのイギリスとの交渉にも影響し、ヨーロッパ全体の不安定化の原因になるので好ましくないという立場であり、そうした動きを見ていると、まだ日本のマスコミはメルケル首相が選挙を主張したことを報じていますが、私が見るにはここ数日少し状況は変わってきていると思います。

【アイルランド情勢】ジェリー・アダムズ氏が引退へ

アイルランドのシン・フェイン党で1983年から党首を務めたジェリー・アダムズ氏が18日、来年引退すると表明しました。この党はカトリック過激派IRA、アイルランド共和軍の政治組織で、北アイルランド紛争と和平に深く関わってきました。後任は紛争に直接関わっていない世代から選ばれる見通しです。

シン・フェイン党のジェリー・アダムズ氏というと、当初はテロリストです。最終的にはジョン・メージャーとの交渉に応じて和平を達成し、自分たちもシン・フェイン党という政党になり、政治勢力になっています。

この紛争の歴史は、元はと言えばイギリスが兵を進めて北アイルランドを占領し、そこにイギリス国教系の人たちをどんどんと移植させ、アイルランドのカトリック系の人たちと勢力均衡するところまで持って行ってしまったという、入植が大きな問題だったわけです。その中で、IRAはテロリストとして恐れられていたのです。

しかし今回は、やや変わった状況となっており、新しいシン・フェイン党というのは基本的にBrexitが行われた時に、北アイルランドはEUに残るというオプションを主張しているのです。アイルランドもそうしてもらわないと困るのです。北アイルランドとの間に国境を作ることになったとしても、多くの人たちが日常的に通勤しているので、パスコントロールは実質的には不可能と言われているのです。

Brexitの場合でも北アイルランドはEUに残り、アイルランドとの間を通れるようにしておかなければ、再びIRAのような過激な運動が起こる可能性があるのです。そしてイギリスにとっては、これは大変な火薬庫になるのです。

イギリス人がEU離脱を表明した時には、北アイルランドがそこまで複雑な問題になるとは想定していませんでした。スコットランドは独立運動があったので問題は予想されましたが、北アイルランドについては当時はあまり認識されていなかったので、今、改めて大きな問題になってきているということなのです。

そうした時に、古いテロリストのイメージが強いジェリー・アダムズが辞めるということは非常に良いことだと思います。今度は紛争を知らない、和平交渉以降の人たちが指導者になるということであれば、皆が恐れることもなくなると思います。

【ジンバブエ情勢】ムガベ大統領が辞任

ジンバブエ下院のムデンダ議長は21日、国軍の軟禁下にあるムガベ大統領から辞任の意向を伝えられたと発表しました。ムガベ氏は1980年の独立以来、37年間実権を握ってきましたが、ムナンガグワ副大統領の解任を受け、先週、軍が蜂起。ムガベ氏が辞任要求に応じなかったため、議会で弾劾決議の手続きが始まっていました。

ムナンガグワ氏は、良い大統領になる可能性はゼロだと言えます。彼はムガベ氏の右腕だったのですから。当然、ムガベ氏やその夫人は、収賄で私財を蓄え、とんでもない派手なブランド物を常に身につけていて、夫人はグッチーなどと呼ばれていたわけです。

私の見方では、今後もジンバブエはムガベ氏の時と変わらずに、新しい独裁者が出来ただけだと思います。ムナンガグワ氏の就任演説を聞いていると、皆さんのための国づくりをするなどと言っていますが、それは俄かには信じ難く、今までの37年間という長い歴史がそれを示していないと思います。自動的にこうなってしまうということはおかしなことだと思います。ただ何か大きな失政をして、民衆が反発するということは考えられます。

今回はムガベ氏がいなくなったので民衆は大変喜んでいますが、それはぬか喜びだと思います。せっかく新しい大統領が誓いをした時に水を差すのは申し訳ないですが、今までの歴史から見て、期待はできないと思っています。

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ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
11月26日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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