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2020.1.29(水)

英EU離脱問題/英下院選の結果(大前 研一)

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英EU離脱問題/英下院選の結果(大前 研一)
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英EU離脱問題/英下院選の結果 (大前 研一)

英EU離脱問題

  イギリス下院選挙の投票が12日行われ、開票の結果ジョンソン首相率いる保守党が単独過半数を獲得しました。ジョンソン氏は、公約に掲げた2020年1月末の離脱に向け準備を加速させる考えを強調しました。
  離脱はすると思いますが、今後どうなるかはまだわからないと思います。1月31日で離脱するということに関しては、賽は投げられたと思います。
  その後、移行期間が1年、伸ばすと最大2年あります。そうした中で、EUとの交渉が始まってくるのです。
  その交渉では、イギリスはおそらくいいとこ取りをしたいと思っているでしょう。例えば、スイスなどはシェンゲン協定に入っているために、EUのメンバーではなくても、トラックなどはそのまま止まらずに国境検疫なしで通過できます。
  イギリスもこのようなことをやりたいと言う可能性もありますが、EUはそれを拒否すると思います。ただ、これをやると北アイルランドの問題が解決するので、当然イギリス側では提案してくるでしょう。
  そうしないと、ドーバー海峡を渡るときに、トラックが2週間分も滞留すると言われています。今回は、イギリスの分析でも言われているように、保守党が勝ったというよりも、労働党が惨めな負け方をしたということです。
 私が毎月書いている投稿論文の中でも触れていますが、今回のことを見ているとやはりシングルイシューだと言えます。
 インテリのイギリス人でも、インテリの多いアメリカ人でも、シングルイシューによって、トランプ大統領のような人でも25%位がコアの支持者になるのです。
  そして48%しか投票しないアメリカの場合には、25%でもマジョリティになってしまうという問題があるのです。今回の労働党を見ていると、コービン氏のやり方は最悪で、何をやりたいか分かりませんでした。
 徹底的に残留、ステイだとやっていればよかったのですが、労働党の中にも離脱派の人がいる中で、リーダーシップを振るって党をまとめ切ることができなかったのです。
  その点ではジョンソン首相の方が、主張を絞りシンプルにしたことが良かったのです。コービン氏は、それでは少し問題があると思ったらしく、こういう難しい論理を組んだのです。
 私が首相になればEUと交渉し直し、交渉して勝ち取った柔らかなブレグジット案と、残留案の2択で国民投票をするというものです。
 交渉してみないとわからないものとステイとで、もう一回国民投票するという、非常にわかりにくい主張でした。
 さらにコービン氏は、ユダヤ人差別的な発言をずっとしてきており、最後にはユダヤ人の人たちを周りに集め、仲良くやっていることをアピールしたわけですが、そのようなことを今頃やってもダメなのです。
 また、労働党は左派であり、いくつかの産業で国有化をしましょうと言うなど、時代錯誤もいいところだという感じです。
  やはりこれはコービン氏の自滅だと言えるでしょう。

英下院選の結果

  ただここから先については、まだわかりません。グラフからわかるように、労働党は壊滅的に60近く議席を減らしましたが、保守党も得票数という点ではあまり取っていないのです。
  小選挙区制なので、49対51というギリギリの場合でも議席を取ってしまうということが多かったわけです。スコットランドでは、ニコラ・スタージョン首相のSNP、スコットランド国民党が、48議席へと議席数を伸ばし、圧倒的にスコットランド国民党が取ったわけです。
  これは今後すごいことにつながる可能性があります。以前、スコットランド国民党が中心になってスコットランド独立の投票をしたときには僅差で負けているのですが、その理由は非常にはっきりしていて、スコットランドが独立して連合王国から抜け出たとき、EUに入りたいと言っても、イギリスがまだEUに残っていると反対できるわけです。
 EUの場合、反対が一国でもあると入れないのですが、イギリスがEUを出てしまっていれば、反対する人はもういないのです。
 スコットランドのような国はEUの中では大きな国となるので、独立したのでEUに入りたいと言えば、イギリスがいなければ必ず入れるというわけです。
  その点で、この勝利はスコットランドにとっては非常に大きな勝利となるのです。つまり、ボリス・ジョンソンが勝ったと言いますが、連合王国の崩壊がこの中に含まれている可能性が非常に高いのです。
 スコットランドが独立し、ちょうどイギリスがいなくなった頃にEUに入るということになると、スコットランドだけいい思いをしやがってと、当然北アイルランドも同調するでしょう。
  ただ北アイルランドの場合はそういうやり方はせず、アイルランド共和国と一緒になりたいと思っています。しかし、イギリス国教徒の人たちがそこに移住しているので、この人たちと血を見ることになるわけです。
 ベルファストの悪夢のようになる可能性があるのでそう簡単にいくかどうか分かりませんが、投票してしまうとそうしたことも起きかねません。
 そして、かつて血を見た北アイルランド紛争というものも、独立してしまってアイルランドと一緒になり、EU残留ということになれば、この地域も抜けてしまうわけです。
   残りはウェールズですが、スコットランドと大体いつも並行したことをやってきているので、独立運動をすることも考えられます。
  今はそのような政党はありませんが、当然そうした党が出てくると思います。そうするといよいよ、まさに前回の国民投票の後に私がBBCなどで話した事態、イングランド・アローンへと向かう可能性があるのです。
  今回保守党が大勝したと言いますが、もしかしたら地獄の門を開いたという可能性もあるのです。また、本当に保守党が言っているような、ハードブレグジットで31日には何が何でも離脱ということを進めた場合、イギリスにとってのマイナス面が、統計的にも実績としても出てくると思います。
  イギリス国民がそうしたことに耐えられるのかどうか、これも大きな問題です。いずれにしても民主主義の末期には、こうしたいわゆる衆愚政治になるわけですが、その特徴はシングルイシューであり、それが非常に重要になってくるのです。
 「難民の問題が俺たちの職を奪っている」、「メキシコに壁を作らなければダメだ」などといったシングルイシューが、政治的には受けやすくなるのです。
 ただ多くの政治的な問題は、But、However、On the other handと色々あって、それを総合的に判断していくのが常識なのです。
  しかし世界の多くの国ではそうではなく、単純に言い切った奴が勝ってしまうという状況なのです。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
12月15日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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