金融リアルタイムライブ特別マガジン「金利差なき世界で持つべき大局観」(唐鎌 大輔)
2020.12.2(水) | |||||||||||||
金融リアルタイムライブ特別マガジン「金利差なき世界で持つべき大局観」(唐鎌 大輔) | |||||||||||||
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資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびに一流講師陣から学ぶ!
本日は、「株式・資産形成実践講座」で高い満足度を誇る 「金融リアルタイムライブ」の内容を一部抜粋して皆様にお届けします! |
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主要三市場に関する論点 |
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現在は、アメリカ大統領選が終わった直後であり、新型コロナウイルスに対する有効なワクチンが開発されたのではないかというニュースが出たばかりの状況です。そのため、金融マーケットとしてはアメリカ大統領選の結果がまだ覚めやらぬところをどう解釈していいのか分からず、ワクチンの件も重なって、この先の金融マーケットに、どの論点をどういうふうに組み込んでいけばいいのか混乱している状態だと私は考えています。また、そう感じているプロの方も恐らく多いのではないかと思います。 | |||||||||||||
従って、あと1カ月で2021年がやってくる今、株、債券、為替の主要三市場に関して、ここだけは押さえたいという論点表を作りました。 | |||||||||||||
株高の論点 |
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目先の材料ではなく、当面変わりそうもない話をします。例えば今、(上記の表では)株高が一番話題となっていますが、なぜ株高なのか。やはり一つ言えることは、「定期的にインカムを生むアセットは株しかない」ということだと思います。 | |||||||||||||
低金利が常態化しているために、どの国債を買っても大した利回りは得られないが、株を買えば配当利回りはもらえます。株の債券化という言い方をこの講座でも何度かしたことがあるかもしれませんが、株を株として買うのではなく定期的にインカムを生むアセットとして、株が消去法的に買われていると考えた方がすっきりします。そうでなければ、過去10年間ずっと株高である一貫した説明ができません。それが、この赤で書いた大事だと思われる点で、「政権にかかわらず拡張財政路線は不可避」とあるのは、皆さんもよくご存じの通りです。 | |||||||||||||
ワクチンができることを前提にマーケットの見通しを語ることは、やはりエコノミストにはできませんが、仮にワクチンがあれば、この見通しは恐らく外れると思います。今はワクチンという吉報を待ちつつ、結局コロナ禍はそんなに簡単に終わりそうにないという思いで、いろいろなことを考えなければいけません。そうなるとトランプであろうとバイデンであろうと、結局今、増税をして実体経済を押しつぶすようなことはできないはずです。そういうわけで、拡張財政路線は不可避であるから、アメリカ大統領選がどうなるかという理由で株を説明しない方が良いと思っています。 | |||||||||||||
金利低下の見通し |
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では金利はどうかというのが、2番目にある債券高の話です。FRBは、2023年末まではゼロ金利であると意見集約をして情報発信をしています。しかも今後の目標は平均2%であると大きく報じられました。平均2%ですから、1%のときもあれば3%のときもあり、-0.5%のときもあれば4%のときもあるでしょう。それらを平均して、ある一定期間で2%に到達したときに物価目標が達成されたと評価すると言ってしまっているわけです。 | |||||||||||||
今2%にはほど遠いわけですから、原油価格などの影響はあるものの、平均で2%になるのは見通せる将来においては2024年以降だという意見がほとんどです。2024年以降まで利上げができないために、FRBより2023年末まではゼロ金利であるという見通しが出てしまっているということです。であれば、アメリカ大統領が誰であっても金利は下がる、上がらないということで別にいいのではと思います。 | |||||||||||||
為替、ドル過剰によるドル安 |
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そして為替の話ですが、6月からずっとドル安が続いています。当面のテーマは、ドルの過剰感であると思われます。今年のアメリカの財政赤字はGDP比で30%を超えています。過去同じレベルとなるには、第二次世界大戦直後までさかのぼる必要があり、まさに戦時期並みの財政赤字が出ていることになります。財政赤字の対GDP比とドル相場というのはかなり相関が高いので、このことからもドルが過剰だからドル安であると言えます。 | |||||||||||||
またアメリカ大統領選について、為替や金融マーケットから見て唯一気にした方が良いと思われることは、財務長官人事だと考えます。これから閣僚人事が順次明らかになってくると思いますが、財務長官が誰になるのかというところがすごく気になるところです。 | |||||||||||||
【講師紹介】 | |||||||||||||
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▼その他の記事を読む:
【前回の記事】中国成長率、コロナ前に迫る/ NEXT1000/国内株式市場、29年ぶり高値(大前 研一) |
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