金融リアルタイムライブ特別マガジン「コモディティマーケット動向 ~穀物価格~ 」(近藤 雅世)
2021.3.3(水) | |||||||||||||
金融リアルタイムライブ特別マガジン「コモディティマーケット動向 ~穀物価格~ 」(近藤 雅世) | |||||||||||||
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資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびに一流講師陣から学ぶ!
本日も前回に引き続き「株式・資産形成実践講座」の大人気コンテンツ 「金融リアルタイムライブ」の内容を一部抜粋して皆様にお届けします! |
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穀物価格 |
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穀物価格ですが、S&P GSCI商品価格指数というものがあります。左が6カ月のGSCIの価格でこのように伸びており、要するに商品価格が上がっているということです。これはEIAのデータなのですが、その内訳は一番がエネルギーで26%上がっています。農産物が同じく26%上がって、ほぼ拮抗して二つの商品価格が上がっています。金属などはほとんど横ばいです。これは去年の10月との比較であり、非常に値上がっているのが農産物でございます。では、背景に何があるかについてご説明します。 | |||||||||||||
トウモロコシや大豆価格が上昇している原因 |
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この下のグラフが分かりやすいのですが、まずチリ沖の海面水温が赤くなっており、暑いということが分かります。過去との平均で比べますと異常に青くなっております。つまり海面水温が例年に比べて低いところが多いのです。これをラニーニャと言います。これは気象庁の1月の開示速報からの情報ですが、ラニーニャが今年の夏から秋まで、そしておそらくは春まで継続して続くだろうと思われます。 | |||||||||||||
これはブラジルの干ばつ地域を示したものですが、雨が降らなかった過去40年間で最高の干ばつだったところは、この茶色いところです。全体的に雨は降っていないというのが12月までの降雨量のグラフです。作物はだいたい9月に植えて1月に収穫するというのが南米のサイクルです。 | |||||||||||||
アルゼンチンでは、トウモロコシはやはり同じように乾燥した天候で、このようなグラフになっており、過去平均はこれだけの生産量なのですが、2011年よりは非常に良いものの、2019年よりはだいぶ下がっているというのが現在の状況です。南米の干ばつというものが、一つの要因です。 | |||||||||||||
中国、アフリカ豚熱の影響 |
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二つ目は、アメリカと中国が要因です。中国で去年と一昨年にアフリカ豚熱が発生して、豚が大量に殺され、養豚数が少なくなりました。その後、また子豚を飼い始めて、今では養豚数は元に戻っています。養豚業は中国では主要産業の一つですから、豚肉の生産が多くなっており、そのために養豚用の飼料が足りなくなっているということが現在の状況です。 | |||||||||||||
なぜトウモロコシが足りなくなったかと言うと、トウモロコシは茎も葉も全部一緒にして砕いて乾燥させ、豚や牛に与えます。牛はもっぱら牧草を食べ、時々は牛舎にも入りますけれども、豚や鶏はケージで飼育し、大豆のかす、特にトウモロコシを飼料として使っています。ちなみに日本では飼料に米も使われています。 | |||||||||||||
いずれにしても、一昨年の2019年、トランプ政権時の米中貿易摩擦において大豆の生産が要因の一つとなりました。その際に、中国はアメリカの大豆輸入に対して25%の関税をかけました。世界の6割にあたる大豆は、中国により買われています。そして世界の生産量の6割ということは、アメリカの最大の買い手は中国であると言えるため、トランプさんを懲らしめるために、中国はアメリカからの大豆輸入に対する関税を高くすることで防御しました。そして、その代わりに南米から大豆を買ったというわけです。 | |||||||||||||
【講師紹介】 | |||||||||||||
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▼その他の記事を読む:
【前回の記事】金融リアルタイムライブ特別マガジン「世界の経済情勢について」(田口 美一) |
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