米株式市場/ゲームストップ株空売りを巡る騒動/乱高下を巡る関係者の主張(大前 研一)
2021.3.17(水) | |||||||||||||
米株式市場/ゲームストップ株空売りを巡る騒動/乱高下を巡る関係者の主張(大前 研一) | |||||||||||||
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米株式市場 |
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日経新聞は20日、「金融ルール、広がる死角」と題する記事を掲載しました。SNSやスマホを舞台としたアメリカ株式市場の混乱の真相解明が始まっています。18日に開かれたアメリカ議会下院の公聴会では主導したとされる個人投資家が共闘を否定し、掲示板の運営会社も規則違反は見つかっていないと主張したということで、SNSが日常に浸透する中、時代に合わせた監視や規制の在り方が今後の焦点になりそうです。 | |||||||||||||
この問題は、我々のような古い人間には小説『羅生門』に例えると分かりやすいのですが、見る人の角度によって、「あれは恋愛なのか、そうではないのか」というような話であり、今回の場合で言うと「共闘の意図はなかった」ということなのです。 | |||||||||||||
ゲームストップ株空売りを巡る騒動 |
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どういうことなのかと言うと、ヘッジファンドがゲームストップ株を空売りしたことに反発して、アマチュア投資家が「レディット」の「ウォールストリートベッツ」というSNS上のフォーラムを通じてゲームストップ株購入を呼びかけ、空売りをしたヘッジファンドに痛い目に合わせたということです。空売りした後にゲームストップ株は急騰したため、ヘッジファンドがひっくり返ってしまうほどの大打撃を受けました。個人の集団が、巨大なヘッジファンドが空売りによってもうけを得ようとしたことに対して、SNSを利用して株価を極端に変動させ、ヘッジファンドによる買い戻しを困難とさせました。 | |||||||||||||
ロビンフッドは清算機関から保証金を積み増せと言われたために、ゲームストップ株購入には制限がかかります。ロビンフットはゲームストップ株の購入制限を資金調達によってすぐにクリアして再開するも、再び制限されました。連邦議員は、ロビンフッドによるこのような行為を批判しました。株の場合は、個人が画策して相談をしながら取引をしてはいけないので、集団訴訟の動きも出始めました。そしてゲームストップ株は、年明けの18.84ドルから一時、終値が347ドルまで上昇し、沈静化すると40ドルまで下がるといった、ローラーコースターに乗っているような状況となりました。 | |||||||||||||
乱高下を巡る関係者の主張 |
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今回の関係者である個人投資家・キース・ギルさんは、「呼びかけたかもしれないが共闘はしていない」、レディットのCEOスティーブ・ハフマンさんは、「掲示板ウェブサイトでは書き込みに不正はなかった」と主張しています。スマホ証券事業を行うロビンフットのCEOブラッド・テネフさんは、「清算機関から預託金積み増しを要請され、一時は取引を停止した」と主張しました。ロビンフットでは個人の取引手数料は無料であり、注文をマーケットメーカーに付けることでリベートを得ることを収益モデルとしています。そしてケン・グリフィンさんが創業したマーケットメーカー(値付け業者)、シタベル・セキュリティーズは、ロビンフッドが取引停止措置を公表するまで、そのことを実は把握しておらず、個人の集中買いで損失を被ったヘッジファンドに救済出資をしていました。先ほどの例で挙げた『羅生門』のように、聞く人によって全部主張が違うのです。 | |||||||||||||
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