資生堂/資生堂と花王の株価推移/資生堂のセグメント別業績(大前 研一)
2021.6.30(水) | |||||||||||||
資生堂/資生堂と花王の株価推移/資生堂のセグメント別業績(大前 研一) | |||||||||||||
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資生堂 |
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資生堂の時価総額が2日、花王をおよそ35年ぶりに上回りました。資生堂は高価格帯の化粧品に資源を集中させるなどの構造改革が評価され、4月以降、投資家の買いが膨らんでいました。一方、花王ですが、おむつなど既存事業が伸び悩む他、化粧品事業をテコ入れするものの、収益への貢献はまだ小さく、成長性の評価に差が出た形となっています。 | |||||||||||||
私は投資家、株屋さんのスペキュレーションが間違っていると思います。資生堂と花王の収益力は抜本的に違います。今回、資生堂の時価総額が上回ったのは、社長である魚谷氏の儲からない普及型ブランドを切り捨て、ハイエンドブランドに集中する施策が成功した結果です。しかし、世界には強い力を持つハイエンドブランドがひしめいており、資生堂が本当に勝てるかどうかは疑問です。つまり、この領域での競争相手は花王ではないということです。 | |||||||||||||
資生堂と花王の株価推移 |
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このグラフを見ると、花王が下がって、資生堂は普及品を切り捨てたことによって伸びを見せ、評価が逆転したことが分かります。 | |||||||||||||
資生堂のセグメント別業績 |
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資生堂のセグメント別業績を見ると、日本、中国、空港等での免税店であるトラベルリテールでは、いずれも激減しています。利益はそれぞれ100億円台です。かつての国内利益700億円が、今では100億円程度です。さらに欧州やアメリカなどは赤字になっています。これが、今の資生堂なのです。 | |||||||||||||
そして、こちらが花王のセグメント別業績です。抜本的に収益力が違います。底力が全く違いますし、コロナの影響も受けていません。ですから、株屋は何を考えているのかと思います。資生堂社長、魚谷氏は、儲からない部門を削って、儲かる部門に集中しましたが、その儲かる部門では、ロレアルやエスティローダーといった強力な会社が世界的に競い合っています。資生堂は中国で好調だといっても、180億円程度しか利益を出していないのです。 | |||||||||||||
花王は圧倒的に収益力があり、コロナ禍でも安定した実績を上げています。私が株屋であれば、花王を評価すると思います。株屋は、目先の業績を瞬間風速で判断しているのでしょう。 | |||||||||||||
【講師紹介】 | |||||||||||||
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▼その他の記事を読む:
【前回の記事】世界株式市場/ギグワーカーの主なメリット・デメリット/中国株式市場(大前 研一) |
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