グローバル・マネー・ジャーナル

2021.8.4(水)

オフィス空室率/都心5区のオフィスビル平均空室率の推移/国内金融業界(大前 研一)

2021.8.4(水)
オフィス空室率/都心5区のオフィスビル平均空室率の推移/国内金融業界(大前 研一)
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オフィス空室率/都心5区のオフィスビル平均空室率の推移/国内金融業界(大前 研一)

オフィス空室率

 オフィスビル仲介大手、三鬼商事の統計によりますと、東京都心5区の6月のオフィス空室率は6.19パーセントと、供給過剰の目安とされる5パーセントを5カ月連続で上回りました。在宅ワークの広がりでオフィスを移転、縮小する動きが活発なことなどが要因で、これに伴い賃料も11カ月連続で下落しています。

都心5区のオフィスビル平均空室率の推移

 グラフを見ると分かりますが、都心5区のオフィス平均空室率は上がり始めています。10パーセントを超えると賃料は暴落してしまうのですが、前回はかろうじて需要が戻ったものの、今回はテレワークなどの新しい要素があるために、恐らく需要が戻ることは望めないでしょう。現在は6パーセントですが、今後は4ポイントほど上がり、ごく特殊な地域を除いては、賃料が暴落していくことになるのではと思います。そのようなことも秒読み状態であるため、かなり頻繁に見ていく必要がある指標です。

国内金融業界

 日経新聞は13日、「境界なき金融、日本気付けばガラパゴス」と題する記事を掲載しました。日本の金融業界では、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)の仕様が統一、整備されていないため、事業者と金融機関の連携が進んでいません。欧米では当局や業界団体が主導して、オープンAPIが整備され、フィンテック企業がサービスを安く開発できる地盤が整っている一方、日本は特区や金融機関の消極姿勢が壁になっているとしています。
 頭の中では分かっていると思います。現在、日本の金融業界ではNTTデータのCAFISというシステムが独占的に利用されています。そして銀行では全銀システムが使用され、こういった旧態依然としたものがあるために、スマホとの連動がうまくできない状況となっています。よそからの攻撃を避けるために全銀システムを守るといった考え方をする銀行と、そしてクレジット会社では利害が一致しているようです。
 対して中国などは、そのようなものがなかったために、アントファイナンシャルなどが台頭してきたわけですが、日本の場合には寡占体制であるNTTデータのCAFISによって、クレジットカード決済率が非常に高いという問題があります。従って、スマホとの相性が悪い、現在のさばっている旧態依然としたシステムに変えて、オープンAPIにより、どんな技術でも導入できるようにすることは、マストであるといえます。具体的には、基本的にスマホのOSを使って、スマホと共存し、かつセキュリティーを上げていくということです。セキュリティーを上げるためには、暗証番号などではなく生体認証を入れる必要があるのですが、これができていないということなのです。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
7月18日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
▼その他の記事を読む:
【前回の記事】中銀デジタル通貨/パナソニック/テスラの株価推移(大前 研一)

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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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