日米ユーロ圏の家計の金融資産構成/階層別の世帯数と純金融資産額/米国の階層別の純資産保有額(大前 研一)
2021.11.10(水) | |||||||||||||
日米ユーロ圏の家計の金融資産構成/階層別の世帯数と純金融資産額/米国の階層別の純資産保有額(大前 研一) | |||||||||||||
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日米ユーロ圏の家計の金融資産構成 |
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これは、日米ユーロ圏における家計の金融資産構成です。日本では、総額2,000兆円近い資産のほとんどが現金および預金となっています。預金をしていても利息はほとんど付かないので、金利をとことん上げてしまおうという議論が出ています。極端に言えば、金利を5パーセントにすると2,000兆円では100兆円の利息となり、国家予算ぐらいの規模となります。この施策には別の弊害が起きるとは思いますが、金利を下げてマネタリーベースを増やせば景気が良くなるという、20世紀の古い経済学に基づいて行った安倍氏黒田氏の施策には、大きな問題があったということは確かです。 | |||||||||||||
アメリカでは株式を持っている人が非常に多いため、株式市場が良くなると景気が良くなります。そして所有する株式を抵当に入れて、2軒目、3軒目の家を建てます。アメリカ人の家に対する願望は強烈です。私には、日本から追放してほしい言葉があります。家は大きいほうが良いと思いますので「狭いながらも楽しいわが家」、そしてもう一つは「終の棲家」です。ヨーロッパやアメリカでは、生活して金を稼ぐ場所は寒い地域が多いので、サンベルの南のほうにも2軒目、3軒目の家を所有します。そして仕事の引退後には自分が住んでいた寒い地域にある家を売って、南の地域に所有する家に移り住みます。アメリカ人は貯蓄性向が低いと言われますが、金を稼ぐ時期に住んでいた家が貯金と同じ役割を果たします。このようなことを安倍氏黒田氏周辺の人たちは分かっていないため、9年間もミステイクを続けていたのです。 | |||||||||||||
階層別の世帯数と純金融資産額 |
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日本の場合には、もう一つ問題があります。これは階層別の世帯数と純金融資産額のグラフです。日本では、超富裕層や富裕層は少なくマス層が占めています。 | |||||||||||||
米国の階層別の純資産保有額 |
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アメリカとは全く状況が違います。下位51パーセントの人たちが持っている純資産は底をはうように低く、対して上位の1パーセント、あるいは2~10パーセントの階層は40兆ドルというとんでもない資産を持っており、しかも急激に伸びています。そして持っていない人はずっと低いままという二極化社会が、アメリカの場合には起こっています。そしてヨーロッパでもそういった方向に向かいつつあります。だからこそ、株が上がると上位層の人たちが豊かになり、株を買えない人は救われないという二極化社会となるのです。 | |||||||||||||
日本では、そのような二極化が比較的起こっていないと言えます。金を稼いで金持ちになろうという欲望が非常に少ない低欲望社会です。そのために、給料が30年上がっていないにも関わらず日本の社会は安定しているという、為政者にとっては極めて治めやすい国だと言えます。 | |||||||||||||
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▼その他の記事を読む:
【前回の記事】米法人税率/主要国の法人税率/中国デジタル通貨規制(大前 研一) |
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