グローバル・マネー・ジャーナル

2022.4.27(水)

金融リアルタイムライブ特別マガジン「ウクライナ情勢によるインフレ懸念と資産運用への影響(2)」(栫井 駿介)

2022.4.27(水)
金融リアルタイムライブ特別マガジン「ウクライナ情勢によるインフレ懸念と資産運用への影響(2)」(栫井 駿介)
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金融リアルタイムライブ特別マガジン「ウクライナ情勢によるインフレ懸念と資産運用への影響(2)」(栫井 駿介)

ウクライナ情勢によるインフレ懸念と資産運用への影響(1)

 ウクライナ問題について、図を見ていただくと一番分かりやすいのではないかと思います。この黄色で塗られている部分がウクライナで、その東側にロシア、西側にヨーロッパのNATOの国々があるわけです。ウクライナは新欧米政権になったことで、ゼレンスキー大統領にはNATOやEUに入りたいという思惑があるのではないかと見られています。一方でロシアのプーチン大統領としては、ウクライナがNATOに入ってしまうと、これはまさに隣、目と鼻の先にNATOの軍事力がやってくるということになりますから、それはロシアとしては断じて許せないということになります。
 さらには、かなりプーチン大統領は情緒的になっているようにも見えるのですが、ウクライナとロシアというのはもともと同じ民族だったという主張を繰り返していまして、ロシアがウクライナへ侵攻する大儀があるというようなことを言っているわけなのです。緩衝帯だったわけなのですが、これが緩衝帯にならなくなるというのをプーチン大統領は最も警戒していて、それで今回の侵攻に至ったわけです。
 この侵攻を受けて、経済的に一番大きな影響があると見られるのが原油や天然ガスです。これは世界の輸出量のランキングで、原油の輸出量として1位は、中東のサウジアラビアが最大の輸出国で、その次に輸出が多いのが、なんとロシアなのです。また天然ガスに関しては、これはカタールを上回って圧倒的に1位ということになっています。
 これだけ世界に原油や天然ガスを輸出しているロシアの供給が、供給というか需要のほうで受け取れないということになると、その受け取る側の国々は他の国から原油を調達してこなければならないということになりますから、需要に対して供給が追い付かないということで、価格が上がるということになっています。

ウクライナ情勢によるインフレ懸念と資産運用への影響(2)

 このロシアが輸出している先が中立国やロシアの味方をする国だったらいいのですけれども、実際にはその大部分が欧州に輸出されているのです。原油の輸出先を見ても、ドイツを筆頭にこの赤で示された部分、およそ半分はヨーロッパの国々に輸出しているわけなのです。
 ヨーロッパの、しかもいわゆる西側諸国と言われるところで、今回、経済制裁に加わるような国々に輸出しているのです。こういった国々がロシアとの取引を行うというのはなかなか難しくなってくるでしょうから、どこか別のところから調達しないといけなくなってきます。

ウクライナ情勢によるインフレ懸念と資産運用への影響(3)

 さらに結び付きが強いのがパイプラインです。ドイツがロシアからのパイプライン、実際に採掘されるところから直接パイプでつなぐというものをやっているのですが、なんとドイツはそのうち24%を買っており、これはまた赤で示した部分です。そして赤と黄色で示した部分がヨーロッパに対する輸出先ということになっています。
 これは地理的に見ても大陸でつながっているというところからパイプラインを送りやすいというところがあって、だからこそこれがストップするということになると、特にドイツは原油、あるいは天然ガスの輸入に苦労するということになって、世界的に見ても供給不足、需要高によって価格がさらに上がるということが懸念されているわけなのです。
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栫井 駿介
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