グローバル・マネー・ジャーナル

2022.8.3(水)

対外資産/日本の直接投資残高の推移/国内不動産市場(大前 研一)

2022.8.3(水)
対外資産/日本の直接投資残高の推移/国内不動産市場(大前 研一)
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対外資産/日本の直接投資残高の推移/国内不動産市場(大前 研一)

対外資産

 財務省が公表した2021年末の日本の対外資産負債残高によりますと、政府や企業、個人が海外で保有する資産から海外投資家などによる対日投資を示す負債を差し引いた対外純資産の残高は、前年末に比べ15.8%増加の411兆1841億円となりました。2年ぶりに過去最高を更新したもので、円安で外貨建て資産の円換算額が膨らんだことが主な要因ということです。
 悲しい話ですが、日本に投資機会がないということで、膨大にたまったお金が海外の資産に向かっているということです。
 これが主要国の対外純資産で、アメリカは他の国、他の人、他の企業に自分の資産を持たせて乱脈経営をしてるところですが、日本では貯金に回って、その貯金は銀行にいき、それで日銀が国債などを買うのですが、間に合わない部分は海外にいっているということです。

日本の直接投資残高の推移

 対外投資は、直接投資が増える一方であるという状況です。リターンがそこそこあるので国内に置いておくよりもいい、円安になったので円換算するとそれがさらに増えるということです。ただこのグラフで悲しいのは、日本に投資してくれる人も非常に少ないことなのです。最近、日本に投資しているのはホテルなどで、工場や新しい産業は非常に少ないのです。対日投資が伸び悩み、日本そのものが海外に投資をするという部分が増えているということです。

国内不動産市場

 日経新聞は5月29日、「企業の不動産投資、活発」と題する記事を掲載しました。これは2021年度の法人間の不動産売買額は4兆3707億円と、コロナ禍前の19年度に比べ、98%まで回復したと紹介しています。不動産会社やREITに加え、一般企業による取引が活発だったことが要因で、老朽化した設備を商業施設などに転用する動きも広がるとしています。
 今、アメリカも含めた株式市場の動きが非常にさえない状況であるために、不動産にお金が向かっています。外国の、例えばシンガポールの政府系投資、GICといったところが日本に来て不動産投資をやっています。それから京王と小田急が組んで新宿駅の西口、南側のある西口の所の再開発やIHIの工場跡地など、いろいろとあります。軽井沢などを見ていても、この1年ぐらいの間に別荘地の価格が3倍になるなど、非常に活発な動きがあります。今まで15万円だったところが坪45万円ぐらいになり、さっと売れてしまうという状況になっています。ですから、不動産に向かっているのは間違いありません。
 しかし、どこでもというのではありません。かつては原野商法などといった北海道の原野までが売れていましたが今はそうではなく、この半年ぐらいの間で都心3区や軽井沢の別荘地など、また香港のお金が来るというときには超高級マンションなどにいくということで、値段は極端に上がっています。しばらくは、この状況を見ていく必要があると思います。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
6月5日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
▼その他の記事を読む:
【前回の記事】米バイデン大統領/米ツイッター/ツイッターの株価推移(大前 研一)

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株式・資産形成実践講座事務局
 「老後2,000万円問題」がメディアで取り上げられるなど、超高齢化に向かう社会を生きる日本人において、資産形成は今後益々重要な意味を持つようになります。日本では欧米と異なり、金融・資産に関する教育が学校教育に組み込まれていないため、まずは基礎的な事実や状況を把握することが必要です。
 今般新たに開講する「資産形成実践コース(月額プラン)」は、当講座開講15年の集大成として開発されました。受講者の思考体系から鍛え上げ、アウトプット重視で頭と手を動かしながら資産形成における【マインド】と【スキル】の両面を習得し、【実践】に移せる力を身に付けて頂くことを狙いとしています。
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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