グローバル・マネー・ジャーナル

2022.11.9(水)

世界株式市場/貿易統計/日本の輸出入額と貿易収支の推移(大前 研一)

2022.11.9(水)
世界株式市場/貿易統計/日本の輸出入額と貿易収支の推移(大前 研一)
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世界株式市場/貿易統計/日本の輸出入額と貿易収支の推移(大前 研一)

世界株式市場

 日経新聞は9月4日、「株式時価総額、5兆ドル喪失」と題する記事を掲載しました。これは経済シンポジウム、ジャクソンホール会議でFRBのパウエル議長が金融引き締め継続への強い意志を示して以降、株安ドル高がさらに進み、世界の株式時価総額は1週間で5兆ドル、およそ700兆円減少したと紹介しています。4月から6月期にはアメリカがマイナス成長となった他、ヨーロッパはエネルギー高、中国はロックダウンの再開など、先行き不透明な要素が多く、市場の乱高下が続くとの見方が増えているとしています。
 『The Economist』に「Lockdown lunacy index」という情報が出ています。今もてはやされているNASDAQの株はRobinhoodやPeloton、Netflix、ShopifyやZoomで、これらは急激に盛り上がり、そしてまた急激に値を下げて元の木阿弥となってしまいました。NASDAQ COMPOSITEよりも下がってきています。そして、もてはやされていたミーム株は激しく落ち込んでいます。調子に乗ってはいけないということなのです。しかしそうはいっても、まだアメリカ人は株に期待を寄せているようです。

貿易統計

 財務省が9月15日に発表した8月の貿易統計によりますと、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆8173億円の赤字となりました。エネルギー価格の高騰や円安により輸入額が前の年の同じ月に比べ、49.9%増加したことなどが要因で、赤字額は比較可能な1979年以降、単月として過去最大となりました。
 この赤字は、定着してしまうのではないかと思います。エネルギー価格に若干の影響を受けてはいますが、日本は輸出するものがなくなっています。日本が輸出していたものの多くは、中国やどこか別の国に行ってしまいました。昔の日本のように輸出するものが多かった強過ぎた時代には、円安のメリットがありました。
 しかし今は日本の産業界全体がバラバラになって輸出品が少ないために、円安のメリットはあまりありません。むしろエネルギーや食料品などの輸入品が高くなり、生活に衝撃を与えています。日本は円高が続いていたメンタリティのままでいましたが、今は円安に期待できるような輸出品はなく、とんでもない状況になっているのです。

日本の輸出入額と貿易収支の推移

 輸出輸入額と貿易収支の推移ですが、赤字が定着しています。
 輸入額は一方的に伸びています。油などの鉱物性燃料だけではなく、その他についても伸びています。輸入に占める鉱物性燃料の割合は3割で、それ以外のものが非常に大きいということです。下手をすると日本は貿易赤字が定着して、このまま円安も定着してしまうと、危機的局面となってしまいます。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
9月4日、18日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
▼その他の記事を読む:
【前回の記事】金融規制改革/都心オフィスビル/都心5区のオフィスビル平均空室率の推移(大前 研一)

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 「老後2,000万円問題」がメディアで取り上げられるなど、超高齢化に向かう社会を生きる日本人において、資産形成は今後益々重要な意味を持つようになります。日本では欧米と異なり、金融・資産に関する教育が学校教育に組み込まれていないため、まずは基礎的な事実や状況を把握することが必要です。
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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