グローバル・マネー・ジャーナル

2018.3.7(水)

世界の貿易は回復の勢いがついている(西岡純子)

2018.03.06(火)
世界の貿易は回復の勢いがついている(西岡純子)
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世界の貿易は回復の勢いがついている(西岡純子)
【ボラティリティが上昇/現状を把握する】
 経済が順調に回復していることを裏付けにFRBは粛々と利上げを進め、それを背景に金利がじりじりと上昇している。とはいっても、昨年末に2.4%だった米国の10年国債利回りが2.9%台に2か月の期間で上昇した程度であり、驚くほどの上昇ペースではない。
 その金利上昇についても、トランプ大統領が社会インフラ投資の拡大を主張したことで、大型減税とあいまって財政の悪化懸念が台頭したことが理由との後講釈が市場で多く聞こえた。財政悪化で金利が上昇するのであれば、昨年12月に1.5兆ドルもの大型減税が成立した段階で反応していて然るべきところ、ここにきてのそうした理由づけに「今さら」感がぬぐえない。
 問題は、この金利の上昇が市場の混乱を多分に呼んだという事実である。2月から世界全体で株価が下げ足を速め、ボラティリティが大幅に上昇した。VIX指数という、米S&P500指数を原資産としたオプションから割り出された振れが大きく上昇し、市場参加者の間での先行きの相場見通しが大きく広がったことを示唆している。
 なんらかのイベントで先行きが極度に不透明になると、こうしたボラティリティ指標は急上昇する。振り返ると2008年のリーマンショックや2012年ごろから強まった欧州債務危機、2016年の中国経済下振れ懸念などがこうしたボラティリティの上昇を促し、それぞれの時点でのイベントは明白である。
 ところが今回の金利上昇については、本来市場を大混乱させるほどのインパクトを持つものとも考えられない。ここまでボラティリティを大きく上昇させた背景には、1.政策金利の上昇以外に、2.投資ファンドのプレゼンスの高まりと、3.マーケットのAI化があるといえる。
 特に、2.の投資ファンドの存在についてはボラティリティ指標を組み入れた指数連動型のファンドが多く、ある時点の市場の動揺が次のボラティリティの拡大につながりやすい構図となっている。また、3.マーケットのAI化については、アルゴリズムや電子取引化の拡大によって、短時間で値動きが大きくなる傾向につながる。
 こうした投資ファンドに該当する資産規模は2016年時点で34兆ドルと、金融資産全体の13%にまで拡大しているという。リーマンショック以降、低金利と運用難の環境が定着したことで、こうしたボラティリティの変化で収益を稼ぐ主体の存在感が強まったようだ。
 実体経済は悪くはない。世界の輸入数量で需要全体のトレンドを捕捉すると、2016年から増加ペースが強まっている。この期間はFRBは利上げを累計で5回行っており、本来ならば金利上昇により需要は抑制されるというのが一般の理解であろう。しかし、半導体市況の回復も相まって、世界の貿易取引量はここ数年、順調に拡大している。
 英国のEU離脱、米国の保護主義政策など、不透明要素が多い中でもこうして実体経済が堅調であることと、その過程でレバレッジが強くかかっていない(負債が過剰に積みあがっていない)ことは、FRBの利上げへの耐久力が強まっていることを意味する。
 しかし、株価など資産価格が大きな振れを伴いながら下落する局面が長続きすると、本来は市場性のショックに対して頑健性を備えている経済であっても、結果として消費者の心理が悪化したり保有する資産価値が目減りすることで消費行動が抑制されたり、企業にとっての資本コストが上昇してしまったりと、実体経済への負の効果が表れてしまう。こうしたパスは厄介である。
 日経平均株価は3月5日現在で21,042円と、1月の高値(24,124円)から3,000円近くも下落した。それでも長期トレンドで比較すれば高値にあることに変わりはない。日本経済がなお円高リスクに脆弱であることは懸念すべきことながら、ひとまず、ボラティリティの上昇や株価の下落が足元の程度で留まってくれれば、日本経済に負のスパイラルが及ぶ蓋然性は低いと考えられるが、ひとまず金融市場のボラティリティが特に高まりやすい状況にあるため、ドル金利上昇やドル安(円高)の帰趨を日々、細かく見ていく姿勢が要求される。
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株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
三井住友銀行 市場営業統括部
チーフ・エコノミスト(日本)
西岡 純子
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【次回の記事】先行き不透明感が再び強まっている英・EU離脱問題(大前研一)
【前回の記事】
日米金利差とドル/円相場をみる(唐鎌大輔)
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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!次週は休日のため、5月10日に配信いたします。