グローバル・マネー・ジャーナル

2018.11.21(水)

米利上げが与える新興国への影響(唐鎌大輔)

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米利上げが与える新興国への影響(唐鎌大輔)
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米利上げが与える新興国への影響(唐鎌大輔)

新興国の局面変化

 2010年を起点としたときの、新興国への累積資本流入額を見ると、2017年に多くの資本が入り、その後に流出が始まっているのが分かります。これは当たり前の話で、アメリカが金利をこれだけ上げれば、ドル建ての資産が相対的に魅力的になってきているということです。
 裏を返せば、今まで新興国のような政治的なリスクや経済的なリスクを負っている、相対的にリスクの高かった資産は、ドルに比べて魅力が落ちるはずで、そこからお金を抜くしかないのです。したがってその動きが、今始まっているというわけなのです。その意味で局面変化が近いという見方ができるのです。
 例えば去年の6月、アルゼンチンが100年国債を発行したという話がありました。その100年国債なども、アメリカでこれだけ金利が付いているのであれば必要ないのです。アルゼンチンは過去100年で5回もデフォルトをしている国であり、無理してそのような国債を買う必要は無いのです。しかし2017年の時には、その100年国債がすごく売れたのです。それはやはりお金が余っていたからです。
 しかしこの1年でアメリカはバランスシートを大きく縮小し、これからも縮小していくので、お金の量は世界的に減っていくわけです。その中でどこを削るかというときに、投資家としてはやはり、新興国を削ることになるわけです。こうした動きはこれからも続くと思います。
 そもそもアメリカが金融緩和をして、新興国にお金が入ってきたからこうした事態になりました。アメリカが金融緩和をしたときに、新興国にお金が入る段階で資本規制をしておかなければいけなかったのです。量的緩和で新興国にお金が入り、新興国の資産価格が上がることになったわけで、その量を減らした時には、その逆のことが起きるのは当たり前です。金融引き締めをしても大丈夫だと言う人は、徐々にやるから大丈夫だということを言いがちですが、緩和をするときに効果があると言っておいて、止める時には影響がないと言うのはやはり無理があるのです。本来こういうことが起きないためには、資本規制を敷いて量的緩和の影響を新興国が受けないようにするべきだったのです。
 しかし、株が上がることを止めるのは、上がって困る人がいないので、非常に難しいのです。このことは、次回同様の局面では、真面目に議論しなければならないことだろうと思います。入ってくるお金で資産価格が加熱しないように、新興国はケアをしなくてはいけないのです。ただそうは言っても、やはり皆バブルが破裂しないとバブルだと気づかないもので、加熱する過程で止めるのは実際難しいだろうと思います。
 新興国に入ったお金の中身を見てみると、その60%弱がアメリカの量的緩和要因で、30%弱が低金利要因で、合わせて90%程度がアメリカの金融政策要因によって新興国にお金が入っています。
 しかし今、そのバランスシートは縮小していて、金利はどんどん上げているわけなので、新興国の資本は流出して当たり前です。9割近くがそこに端を発しているものなので、どう考えても資本流出は避けられないと言えます。新興国の経済も良いのでお金が残るのではないかという見方もありますが、新興国のファンダメンタルズ要因の資本流入はわずか1%程度なので、1%は残るかもしれませんが、どう客観的に見てもアメリカが利上げを続ける限りにおいては、今後新興国からお金が抜けることは規定路線と言えるのです。
 そうしたことを前提に、いろいろな相場や経済の見通しを考えていかなくてはいけないのです。アメリカが元気でアメリカが利上げを続けるという前提に立つと、新興国にお金が入るという事はおそらくありえないのです。わざわざそんなことをする必要がないからです。予想ですが、基本的にはこの資本が出ていくという部分に関しては、ほぼ約束された未来だと言えるのではないでしょうか。
 アメリカ経済が耐えられるかどうかというよりも、新興国が耐えられるかどうかが心配だと話ましたが、新興国の経済が何に困っているかと言うと、インフレに困っています。インフレでは通貨安になったら困るわけですが、今世界では、これまで観てきたとおり、新興国からお金が抜けて、新興国の通貨が下がるということが慢性的に起きているのです。そうするとインフレが加速してしまいます。それを止めるために彼らは何をしているかと言うと、通貨防衛です。要するに、利上げをしているわけです。
 世界的に新興国の中央銀行は、同時多発的に利上げをしている現状があります。2018年の累積変更幅を見ると、ロシアや南アフリカのように金利を下げた国もありますが、利上げをした国が多くあります。つまり、景気がすごく良くて利上げをしたいというわけではないのに、通貨が下がり続けると国内経済にインフレを通じて悪い影響があるので、防衛をしているのです。結局はアメリカの利上げによってやらされているという格好になっているのです。
 これではいずれ経済に対してネガティブなことが起きるという事は容易に想像がつくでしょう。これが続いていくと、ろくなことにはならないという前提で、マクロの見通しを立てるべきでしょう。今後もアメリカがどんどん利上げをし、円安ドル高、米金利も3.5%を超えてという予測をする人はもちろんいますが、この場合新興国はどうなってしまうのかという事は置き去りにされてしまっているのです。
 パウエルFRB議長も9月の記者会見の時に、自分たちの政策が新興国に影響を与えているという認識はあると言っています。
 しかしまだ自分たちの政策を変えるほどの話ではないと話しています。ということは、変えるほどの話になるという結末も、十分に頭の片隅にあると考えられます。FRBは、新興国を筆頭とする国際金融市場の混乱を理由として、利上げの手を止める、当然米金利が下がり、ドルも下がる、結果として円高になるというのが私の見通しのメインシナリオです。
 実際このシナリオが今年に起こると思っていたのです。
 しかし、アメリカの経済が凄く強いと、中央銀行としては利上げを止める理由がなくなってしまうのです。NYダウが高く、アメリカ経済が良い状態だと、新興国の資産価格もなんとなく値持ちしたりもするわけです。それにより結局、アメリカが強い限りにおいては、こうしたダラダラした状態が続きます。アメリカ経済に対する認識がFRBの中で変わってくれるほど新興国が混乱しないと、FRBの今の強気な姿勢は変わらないでしょう。
 どうなったら目が覚めるのかというのは、端的には株の急落が続く場合でしょう。明らかに今年2月、10月、11月と株が動揺しているので、この動揺を放って置けなくなったときに、FRBの正常化プロセスは止まるのではないかと思います。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
みずほ銀行 国際為替部 為替営業第一チーム
チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌 大輔
11月15日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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【次回の記事】国内2Q GDP前期比0.3%減(大前研一)
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日銀の金融政策の今後(田口美一)

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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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