グローバル・マネー・ジャーナル

2018.12.5(水)

日米欧2019を読む(藤本誠之)

2018.12.05(水)
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日米欧2019を読む(藤本誠之)

日米欧ポジション確認

 各国の経済状況の循環を見ると、アメリカは、基本的に今、金利を上げている状態なので、バブルにならないように、それをつぶしに行っている状況です。バブルがはじけてしまうと経済危機になってしまうので、ちょうどその手前にいるというわけです。
 一方ヨーロッパは、ここから金利を上げられる状況に少しずつ移りつつあります。ただ、日本だけが本当に出遅れていて、ゼロ金利のまま、打つ手もなくぐだぐだしているという形で、デフレがなかなか止まらないという状況が続いています。

国内企業業績堅調、改元効果に期待

 ただ、日本に関しては、企業業績自体はそこそこしっかりしており、雇用は、やはり少子高齢化で人手不足の中、徐々に賃金が上昇している点はプラスだと思います。個人消費への効果も望めるでしょう。問題なのは、やはりマインドです。
 しかし、逆に来年面白いと思うのは改元です。元号が変わるということですが、今まで元号が変わる時、例えば昭和から平成になったときなどは、昭和天皇が崩御されているので、マインドとしては万歳というよりは喪に服すという形で、経済活動自体は少しシュリンクしたと思います。
 しかし今回の場合は、ご存命のまま改元になるので、祝賀ムードとなり、新しい元号、新しい天皇を迎えるということで祝賀的な要素ばかりになってくるでしょう。それによってマインドが少し盛り上がってくるかと思います。すでに、新元号になるところで結婚したいという人なども増えてきています。結婚式場は多くの場合6ヶ月前予約なので、もう少しすると来年5月の改元の頃の予約が始まるので、その効果が期待されています。新たな元号で、新たな気持ちでという方もいれば、平成の内になんとかしたいという方と二通りのパターンがあるようです。

欧州経済~懸念点大きい

 日米欧のポイントをそれぞれ見ていくと、欧州に関しては、イギリスのEU離脱、ブレグジットが大きな問題となります。ハードブレグジットになってしまうのではないかというような不安定な状況が続いています。ドイツでも、メルケル首相を中心とした政権に危うい状況が出てきているので、政権不安につながっています。それによりドイツ株も大きく下がってきている状況です。特にドイツ銀行の株価が下がってきており、ドイツが今までEUを引っ張ってきたがゆえに、全体に不安が出てきています。
 また、イタリアはユーロの中でももともと問題児で、ギリシャが危機に陥ったときにも、次にイタリアで同じようになれば大変なことになるだろうと見られていました。そして今、逆にギリシャ危機が去り、全体的にEU自体が上向いてきて、今までの経済危機から少し立ち直り始め、バブルの目が出始めてきた、緩んできたというところで、イタリアが財政支出をしたいと言い出したわけです。本当にこのばらまき型の政策をやっていいのか、付加価値税も下げ、年金受給を早めるなど、まさに国民がサボりそうなことをよく言ったものです。なんとも身勝手な感じがしますが、やはり選挙で勝つかという点においては、国民にとって受け入れやすい飴のような政策の受けが良いのでしょう。厳しいこと言う政党の方が、選挙では厳しい状況になり、どうしても易き方に流れるわけです。
 しかし本当にそれで良いのかというところが、ヨーロッパの場合、大きな問題なのです。3つの先進諸国の中では、やはりこのヨーロッパが、最も大きな問題を抱えているという気がします。

経済への米中摩擦の影響

 アメリカは米中貿易摩擦が大きな注目ポイントです。米中以外でも、トランプ大統領は日本やヨーロッパに喧嘩を売っているわけですが、日本とヨーロッパに関しては、プロレスではありませんが、お互いあまりに痛い事はしない、一応殴っているふりをして、お互いに国民に見せかけるという形で、今後何とか話が着くと思われます。米中に関しても、本来的には、お互いに1位と2位の超大国同士が殴り合うと、どうしても世界経済に大きな打撃を与えてしまいます。極端な話、アメリカから全部に関税をかけるなどということを言い出しているわけですが、そうするとアメリカの超巨大企業、時価総額で基本1位のアップルが困ることになってしまいます。アップルのiPhoneやパソコンは基本的に中国で作っているわけで、そこに税金がかかってしまうとアメリカ企業のアップルが打撃を受けることになるので、そのことが本当に良いことなのかという疑問が出てきます。アップルの株価が下がればアメリカ株が下がり、景気が悪くなるのは明らかです。
 ただ、そうした問題があるものの、中国とアメリカとの関係は、安全保障の問題にも関わってくるので、そう簡単には引き下がらないという気もします。例えば今回、日本ではF35ステルス戦闘機を100機買うという兆円単位の話が出ました。このように、アメリカとの貿易摩擦の解決に向け、日本の輸出を落とすわけにはいかないとすると、アメリカからものを買うしかないのです。日本で買えるものとなると防衛品となってくるのです。
 しかし、安全保障の面から考えると、中国にアメリカの武器を売るわけにはいかないので、中国がアメリカから買えるものとしては何があるのでしょうか。エネルギーか何かなのかも知れませんがその程度しかないのです。なかなか落としどころが難しい問題です。今週末に開かれるG20の中でも米中首脳会談が行われると言われており、ここで何らかの進展が期待されます。トランプ大統領も会っていないところではツイッターなどで相手をボコボコに言いますが、実際に会うと意外にいい人になったりもするので、大変なことになるかと思いきや意外にも何とかなるような気もします。そう考えるとG20の会談の中で何らかの話が出てくると、アメリカ株の上昇にもつながることになるでしょう。
 また、長期金利の上昇に関しては、急速なものでなければそれほど大きな問題ならないと思います。もともと景気が良いからこそ長期金利が上がっているわけで、そこまで心配はないだろうと思っています。

日本:消費増税、準備は間に合うのか

 日本については、消費税増税の行方次第と言えます。消費税増税の軽減税率について、コンビニで食べたら何%、持って帰ったら何%などと、その境は誰が決めるのかわからないようなことを言っています。買ったものをいきなりそこで食べてしまったらどうなると言うのでしょう。持ち帰りは良いが、外食はダメなどと、一体何が違うのかよくわかりません。
 しかも消費増税をすると消費が落ち込むことに対しての景気対策として、プレミアム商品券の案が出ていますが、これも頭の悪い政策だと思います。さらにはキャッシュレス決済に関して、5%のポイント還元などと言っています。2%消費税を上げるために5%のポイントを提供したら、実質減税になってしまいます。一体これは何なのでしょうか。しかも期間限定ということですが、その期間が終わった後はもっと落ち込むに違いありません。一体何がしたいのか、それなら最初から消費税増税をしないのが一番良いのではないかという話にもなりそうです。来年に向けまだまだ予断を許さないわけですが、可能性として、やはり延期と言うこともあり得ると思います。何よりも対応するシステム会社の負担は計り知れません。いろいろなシステムを改定するのに、これでは間に合わないと思います。実際システムが動かなければ大変なことになるので、その準備が本当にできるのか危惧されます。
 もし消費増税が延期になった場合には、マーケットにとってはプラスだと思います。ポイント関連キャッシュレス関連等で買われた銘柄があったとしたら、その分は下がると思いますが、基本的には増税はネガティブに働くので、もし増税がなくなれば企業業績にとってもマーケットにとってもプラスに働くと思います。
 ただ、私は最終的には思い切って延期にするのではないかと思います。夏の参議院選挙もあり、もしかするとダブル選挙という形で、増税するべきかどうか民意を問う可能性も睨んだ動きが出てくるかもしれません。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
財産ネット株式会社 企業調査部長
藤本 誠之
11月27日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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【次回の記事】最近の商品価格について(近藤雅世)
【前回の記事】
国内2Q GDP前期比0.3%減(大前研一)

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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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