グローバル・マネー・ジャーナル

2018.2.7(水)

株式市場の1ヶ月を振り返る ~前月株価が動いた業種について~(福永博之)

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株式市場の1ヶ月を振り返る ~前月株価が動いた業種について~(福永博之)
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株式市場の1ヶ月を振り返る ~前月株価が動いた業種について~(福永博之)
【株式市場の1ヶ月を振り返る】
 日銀短観の注目ポイントとして、まず想定為替レートを見ていきます。想定為替レートは2017年度、今年の3月までの見通しが出てきます。通期の見通しでは110円18銭、そして下期では109円60銭台となっています。
 業況判断DIでは、大企業製造業、非製造業はともに、0のラインを上回り、しっかりと過去の2005、2006年あたりのリーマンショック前の水準を既に捉えてきたという状況になっています。大企業だけであれば、まだ我々の実感は無いように思われますが、中小企業を見ても、製造業非製造業ともに0ラインを上回り、リーマンショック前あたりの水準をキャッチアップしてきている状況です。
 また、今回の日銀短観では、大企業中小企業ともに共通のポイントがあります。それは、製造業と非製造業の水準が逆転してきているという点です。これまで世界経済が回復していると言いながら、なかなか内需である非製造業しか上がってこなかったのです。非製造業は先に良くなってきているものの、製造業、つまりグローバルで活動している企業の方がなかなか上がってこなかったのです。そうした中、今回ようやく製造業の水準が逆転してきたわけです。前回逆転してきたときの状況を見ても、当時の街角景気なども高くなっているのです。
 今回この製造業、非製造業の逆転は、大企業だけなら長続きしないと思われるかもしれませんが、中小企業でも同じようなことが起きているのです。さらに中小企業の逆転の乖離の方が大きくなっています。これだけ製造業がセンチメント系の指標で回復してきているということなのです。
 そして、バブルと言われた1995年以降、中小企業では業況判断指数は30ポイント台の後半です。さらに大企業では60に近いポイントまで上昇しています。バブルの時期はここまで上がっていたのです。当時は浮き足立った高揚感があったと仮定して、割り引いて考えてみます。実態は10ポイントマイナスした50ポイントだったとしましょう。15ポイントマイナスして45程度だったとしても良いです。そう考えたとしても、今の水準はまだ余裕があるのです。
 中小企業に至っても、常に控えめに判断を出していると思いますが、バブル当時、成長に対する期待が高かった分を割り引いて考えた水準には、まだ全然届いていないのです。このような日銀短観の結果から見ても、今のこの経済状態をバブルと言うにはあまりにも水準が低すぎると言えるでしょう。
 さらに、大企業製造業、非製造業、それぞれの前回の予測値と、今回の実績の差分をみてみます。前回の調査時に、次回はこうなるだろうという予測を立てていて、それが今回、実際に上振れたのかどうかというデータです。
 大企業では上振れ、さらに高水準の上振れがこのところ続いています。さらに非製造業でも上振れが続いています。そして中小企業を見ても、実際の数値も大きく伸びましたが、上振れ幅もその勢いの分、大きく伸びています。中小企業の非製造業もずっと上振れているのです。
 基本的に上振れが定着していて、その中でも伸びが一段と広がってきているという状況なのです。景気の実感がないとか、これはバブルだとかいう見方はあるにせよ、実態ベースで見ると、上振れが続いていることに加え、過去のバブルの水準から見ると、依然としてほど遠いところにあるわけです。今の経済状態や株高は、実態を伴って上昇してきていると考えて良いのではないでしょうか。
【金利動向を振り返る】
 資金需要が高まってくるとどうしても金利も上がってきそうな感じがします。実際に金利はやや上昇しています。ただこのグラフの目盛りを見ると、0.02毎に刻まれていて、ほとんど動いていないに等しいほどです。
 ただこうした中、マーケットの感応度という意味で見ると、0.02%でも動くと市場はびっくりするものです。先日、1日で0.06から0.08まで急騰した日がありました。この背景としては、日銀がオペレーションをやっているわけですが、その買いオペの額を減額したということで、もう出口戦略をやっているのではないかとの見方もあり、金利が少し上がったというわけです。この金利の急騰が、株式市場でも売り要因となりました。これは金利の上昇で円高に触れたからです。
 金利が上昇すること自体は景況感が良いということになるので悪くはないのですが、短期間に急騰する場合や、短期と長期の金利が逆転する場合、つまり急騰や短期金利の上昇が、株価の上昇よりも先に起こる場合は、世界各国共通で、少し危険な状態ということを示しています。今年のポイントとして国内金利を見る上で重要なのは、金利の水準ではなく、上がってきたときに株式市場よりも先に上がるかどうかということなのです。
 ちなみに、2006年から2008年、リーマンショック前の小泉内閣時代の長期金利は1.8%ほどでした。高いときには2%に近づく場面もありました。低い金利が長く続いているので、感応度としては、急に上がるとびっくりするという状況ですが、じわじわと株価が上がっていく中で、後から追いかけて金利が上昇するという時は、それほど心配する必要はないと言えます。
 思えば、1988年から1999年の高値を付けたときの日本の長期金利は8%台でした。8%の国債が出るというので、その国債を買うのに銀行に長い列ができました。これを複利で運用すると10年もかけずに2倍になるという高い金利水準でした。そのような状況があったわけです。急な上昇は、もちろん警戒は必要ですが、株価が上がっても8%に近づくような事はまずなく、まずは0.1%を超えられるかというレベルです。0.1を超えても国債の暴落などと言う人がいるかもしれませんが、そこに関しては今の状況では心配はないと思われます。
 株価との順番さえ守って上昇する分には、過度な心配は要らないのではないかと思います。順調に緩やかに上がっていくようであれば、株式市場も金利の状態も、バブルではないと言えるでしょう。
 今後は日銀が正常化に向けてどこで動き出すのか、その時には円高になる可能性があるので注意が必要です。希望的観測としては、アメリカの利上げ回数が増えるような状況に合わせて、日本も正常化の話になるようだと良いのですが、注意してみておく必要があるでしょう。
講師紹介
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
1月22日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!次週は休日のため、5月10日に配信いたします。