グローバル・マネー・ジャーナル

2018.8.22(水)

BREXITの現状~分断深まる~(唐鎌大輔)

2018.08.22(水)
BREXITの現状~分断深まる~(唐鎌大輔)
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BREXITの現状~分断深まる~(唐鎌大輔)

政権崩壊&ノーディールならば離脱後の安値を臨む展開も

今、ヨーロッパで最も話題となっているのが、BREXITです。
イギリスが何の合意もなくEUから離脱してしまう可能性は絶対ない、それだけはやってはいけない、と言われていたのですが、その可能性がなくはないという状況が起きています。それは市場の観測として出てきているだけでなく、要人発言としても出てきているのです。
8月3日、イングランド銀行のカーニー総裁が、合意なしの離脱に追い込まれてしまう可能性は、不愉快なほど高いと発言しました。
またその3日後に、フォックス国際貿易大臣が、その可能性は60%位だと言っています。可能性はかなり高いわけで、これはとても大変なことです。
来年の3月29日が最終日で出ていくと言われている日ですが、その翌営業日から、もうイギリスとヨーロッパは普通の関係になり、EUと日本、EUとインドネシア、EUとアメリカのような関係に、EUとイギリスはなるということです。
今まで同じ関税、同じ規制の中でやってきたのに、いきなりそこから離れるというわけです。これは現実的にはビジネスの世界ではありえないことです。それをやってしまうと在英企業は相当困ると言われていて、崖から落とされるようなことという意味で、英語で崖っぷちを表わす、クリフエッジリスクと言われていました。クリフエッジはないと言われていたわけですが、ここに来てかなりの可能性で起こり得ると言われ始めたのです。
こうなってくると、今日の時点でもすでに急落していますが、ポンドの暴落が予想され、BREXIT後につけた安値を更新するのではないかと言われています。
そうした中、イギリスの中央銀行、イングランド銀行は何をやっているのかと言うと、まず去年の11月に約10年ぶりの利上げを行いました。0.25%から0.5%に金利を引き上げました。そして8月2日には2回目の利上げを行って、金利は0.75%になりました。0.5が0.75になったその日に、ポンドは暴落しています。そんなことをやっている場合ではないというのが、今のマーケット参加者の受け止めだったのです。
正確には、今利上げをし、これからも何回か利上げをするかもしれないものの、今のBREXIT交渉の状況を踏まえると、これは続かなさそうだということからポンドが手放されているわけです。
買えない通貨としてのポンドというものが、今メキメキと頭角を現してきている状況です。せっかく去年の9月に利上げをするかもしれないと言って、11月に利上げをし、ポンドは非常に調子が良かったのですが、今年に入って交渉が全然進んでいないということがわかると、また一気に折り返して下落に転じているというのが実態です。
ポンドが安くなると、輸入物価経由で物価が上昇してくるので、ポンドの下落にやや遅れてCPIが上がることになります。中央銀行はそれを受けて利上げをしたわけです。利上げをしてポンド安を止めれば、グラフでわかるようにポンドが上昇し、それにより物価も落ち着いてくるということになります。
しかし、また現在ポンドは下落方向に戻り始めているので、そうするとまた物価が、前年比3%、4%と上昇していくことになります。しかし、それほど給料も上がっていないので、実質的に所得がどんどん減っていて、不況下の物価高、いわゆるスタグフレーションの世界が、イギリスでは待っているのではないかと言われているわけです。
流れを整理してみると、相当専門的に見ている人たちからしても、全てを追うのは大変と言うほど、ややこしい状況になっています。
7月19日、欧州委員会はクリフエッジに備えるべきとの文書を公表しました。深刻にまずいという状況が明らかにされたのです。

ハードBREXITとソフトBREXITのハザマ

イギリスでは今、世論調査で、野党労働党の支持率が保守党よりも高くなっているという結果もあります。再選挙をしたら今の保守党が政権を追われる可能性があるので、さすがに解散総選挙でやり直すと言う状況は回避したいだろうと思われます。
ただ、少なくとも今の保守党は、強硬にEUを出て行くべきだというハードBREXIT派と、穏健に今までの規制を残したまま緩やかに行こうというソフトBREXIT派が、ほぼ半分半分に分かれています。
両方の意見を汲み取って交渉方針をまとめて、欧州委員会に持っていったところ、そのようないいとこ取りは受け入れられるわけはない、クリフエッジに備えろと言われたというのが実態です。欧州委員会の言うことはもっともですが、欧州委員会が頑ななので難しい状況になっていると言っているのが今のイギリスなのです。
交渉は10月18日がデッドラインだと言われています。ここまでに合意をまとめないと、その後各国で批准をするのに半年かかると言われているので、この日のEU首脳会議までにまとまれば間に合うのですが、メイ首相はそれには間に合わない、11月になるかもしれないと言い始めています。
11月にはEU首脳会議は予定されていませんが緊急で会議を開き、12月の会議で最終的に承認して、急いで出ていくという、できそうにもない話になっています。
用意されているシナリオは3つあり、1番良いのはEUとの交渉が円滑に妥結することで、シンプルに悪いのは交渉が決裂することです。
早く決裂してくれれば、準備をすることもできるのですが、最悪なのはギリギリまでEUと交渉し妥結した後、議会に持って帰ったらそれを議会が否定するというケースです。イギリスの政権の中でも今、足並みが揃っていないので、こういうことも起こり得ると言われています。非常に時間がない中、ギリギリになってまとまらず、バタバタと出ていくという可能性も、残念ながらあると言えるでしょう。
とにかくどの論点を注目すればいいのかというくらい、混乱した状況になっています。
こうした状況に対し、株式市場は正直で、主要国の株価指数の推移と比べて、イギリスだけは嫌だという状況が鮮明に表れています。為替市場は金利が高くなると喜んで通貨が買われるものですが、BREXITが決まった2016年6月直後から、他の株価が上げている中、イギリスだけが下げているのです。株価は景気の先行指標なので、この先伸びると思われていないのです。ここがイギリスの今の限界を示していると言えます。
現時点で合意なく離脱すると言う可能性は非常に低いと思われますが、交渉の進展を待つしかないと言う状況です。
ポンドが安くなっていることを受けてイングランド銀行は利上げで対応しているわけですが、そもそもなぜポンドが安くなったと言うと、BREXITという政治不安が背景にあるわけです。こうした政治不安を受けた通貨安を、利上げでカバーするということには限界があるのです。いかにがんばって金利を上げて、ポンドを買って欲しいと言っても、これまで説明したような交渉の状況だと、買えるはずがないのです。株式市場の動きはまさにその証左で、利上げは無駄な抵抗に終わる可能性があると言えます。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
みずほ銀行 国際為替部 為替営業第一チーム
チーフマーケット・エコノミスト
唐鎌 大輔
8月9日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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▼その他の記事を読む:
【次回の記事】英EU離脱問題 日本の個人金融資産とトルコ大統領選(大前研一)
【前回の記事】
日銀金融政策決定会合の影響を分析(田口 美一)

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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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